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里山の夏休み
株式会社青木工務店 設計パートナー 薮田 紀子 ■ Noriko Yabuta 「越後妻有トリエンナーレ」へ この夏は新潟・越後妻有に出かけた。越後妻有という場所は高齢化、過疎化に加えて、中越大震災、記録的な豪雪と、大変な災害と戦ってきた地域だ。 そこで「越後妻有トリエンナーレ」という3年に一度行われる国際美術展覧会が開催されたので行ってきた。2000年から始まり、今年で3回目になるのだが、毎回楽しみにしている展覧会である。 山と川、棚田に囲まれた760k㎡という広大な地域に40の国と地域200組のアーティストの作品、それに第1回目と第2回目の作品を合わせると330点ほどの作品が設置されている。現代アートの他に、陶芸・華道、舞台芸術とさまざまな芸術分野の作品が集まっている。驚くほどの美しい棚田やむせ返るような深い緑を五感いっぱい感じながら、棚田や休耕田、市街地、温泉街、山間部、集落などなど、あちらこちらに点在する作品を地図を片手に巡っていくのだが、これがなんとも楽しい。 「空家プロジェクト」 今回は、過疎化や震災により各集落に増えた空家を建築家がリノベーションしたり、アーティストが作品を展開したりする「空家プロジェクト」が行われていた。根曲がりした木の梁や、茅葺き屋根、土壁など木の家の良さを改めて感じられる築百年の民家などは、美術館やギャラリーで鑑賞するのとはまた違う時間や空間を感じることができる。 アーティストは以前その場所にあった感覚や価値をうまく転換して、私たちに見せてくれる。説明などなくても誰が見ても感じるものがある。その発見が楽しさのひとつだ。 その他にも、地域住民が場所をアーティストに提供し、作家と住民・ボランティアの協力で制作する作品が多数ある。外からやってくる作家やボランティアとそこに暮らす住民と、地域や世代を超えてつながっていくネットワークを感じることができた。都市にいるだけではわからない場の力と新しいコミュニティについて考えさせられる数日間だった。
by ju-takukoubou
| 2009-04-09 13:03
| 工務店設計者の日々
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