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地域で紹介が発生しない理由
特に都会では「地域」という意識が希薄だし、コミュニケーションも少ない。これは年齢とか世代の問題ではないように思う。私が住んでいる池田市というところはいわゆる大阪のベッドタウンで、私の家(兼仕事場)もかなり古い住宅開発地の中にある。数年前から比較的若い家族が少しずつ入ってくるようになったが、それでもまだ相当な割合で高年齢の人たちが住んでいる。 私がここに移り住んだのは7年ほど前で、そのときから近所で会う人には挨拶をしてきたし、今でもそうしているが、向こうから挨拶してくる人は極めて少ない。どちらかといえば、若い人の方が目礼などして、コミュニケーションを図ろうとしているように感じる。 挨拶をしようともしない年齢の高い人には「おいおいお前らが挨拶しない子供をつくってるんじゃないか」と心の中で怒っている。都会の個人主義はもう定着してしまったようだ。 だから、話に聞く「昔は紹介で工務店(大工)を決めた」というような状況はまずあり得ない。実際、近所のリフォームや建て替えに来ている工務店もバラバラだし、相当に遠いところから来ていることもある(車に書いてある住所でわかる)。 そうした状況の中で、面的に地域をカバーするような工務店として存在するのはものすごく難しく、以前はそれに近かった工務店でもそうではなくなってきているだろうし、あらためて地域密着を図ろうとする工務店がそういう存在になるのには相当な時間がかかるだろう。しかもそうなっていく過程においてはリフォームが中心にならざるを得ないし、売上や利益を確保するのは相当に苦労するだろう。 とにかく新築で頑張るしかないのか? 地方の状況も同じかもしれない。いや、もっと複雑な状況なのかもしれない。そうなると、やはり前回に書いたように、新築をメインにして点で勝負していくしかないのかもしれない。現実的に、私がよく知っている工務店でも「紹介で仕事が来ることはほとんどない」と言っている。地域の面的なコミュニティもなく、例えば習い事が一緒だからということで点でつながっている人たちがいて、しかもそういう人たちは非常に強く「距離感」を意識し、その友達に家を建てるという話をすることもなく、もし話をしたとしても誰かが「ここがいいよ」と言うわけでもない(変なところで責任を取りたくないと感じていたり、企業や人を見る目がないと評価されるのが嫌だったり、趣味が悪いと思われたりしたくないからだろう)。 そう考えると、ほんとにしんどいなぁと感じてしまう。地域の点と出会うために全国規模のフランテャイズやネットワークに入り、チラシを打ち、ホームページを工夫し、ブログを書く。 ただ、そうやって努力しているうちに少しずつ点が集まってくるようになっている工務店もある。その点の密度が高くなるほど、その地域では目立つようになり、お客さんの幅が広がってくる。そうなってくるまで、とにかく頑張るしかないのだろうか? 野池 政宏 住まいと環境社
by ju-takukoubou
| 2009-04-08 16:53
| 野池主義でいく
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