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【新連載】プロ目線で住まいづくりをチェックする
1.現場検査の概要

ARU田口設計工房 田口 隆一


現場検査のポイントは、その検査の性格によって視点が若干異なります。ここで紹介する検査のポイントは、木造住宅に関連する第3者検査に該当するものを対象としますが、実際の現場検査にはどんなものがあるか、まずは再確認しておきたいと思います。

①建築基準法上の検査
この検査は、役所や確認検査機関が建築基準法で定められた検査を行うもので、工事中あるいは完成した建物が建築基準法を順守して建てられているかという点に絞って、検査されます。
逆の見方をすると、検査を必要としないあるいは緩和規定により審査が省略されている事項については、検査を行わないということです。
つまり、建築基準法や関係法令に規定されていない部分については、一切触れられない検査で、具体的な例を挙げると、仕上がり具合や断熱性能など、生活上問題が起きる可能性がある部分であっても対象にはなっていないということです。

検査は、中間検査と完了検査の2種類が規定されています。

・完了検査
全ての建物で必要とされる検査です。
これは、建物の工事が完了した段階で申請する必要のある検査で、工事完了届を提出した確認検査機関や役所の検査官による検査です。
この検査は建物が完成した時点で現行の建築基準法に合致しているかどうかを調べるためのものです。合格すると「検査済証」が発行されます。
この「検査済証」があることで法に合致していることの証明となり、増改築を行う際に母屋の法遵守性を審査する必要がなくなるため、確認申請が必要な場合の手続きが非常に簡略化できるというメリットがあります。また、建物が違法建築でないことが証明されていますので売買の際などにも有利に働くと考えられます。

・中間検査
これは建物の規模によって検査の要不要が定められています。
木造住宅では、3階建てとした場合に、上棟後のタイミングが特定工程(検査が必要な工程)とされ、構造躯体の施工状態について検査が行われます。
一般に4号建築物(※1)といわれる2階建ての小規模木造建築物の場合で、基準法上の中間検査はありません。

※1 建築基準法第6条第1項4号に規定される建物を4号建築物といい、木造2階建て500㎡未満、最高高13m未満、軒高9m未満の建物がそれに当たり、建築確認申請において、建築士の設計による場合は、構造関係規定等の審査が省略(設計・検査とも)される規模の建物。

②瑕疵(※2)保険の検査
 年間1000棟程度の着工戸数がある住宅メーカーなどは、供託金という制度を用いているため、瑕疵保険の関連する検査はありません。
一般の工務店であれば、そこまでの着工棟数を確保できませんので、住宅ごとに瑕疵保険を付保するということになります。
この保険は、2000年に「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(以下品確法)で定められた、売主や請負人に10年間の瑕疵担保責任を負わせるという規定があったものの、構造計算書偽装事件の際に、請負者が倒産したことによってその義務がまっとうされなかったことから、全ての新築住宅に保険をかけるという仕組みとして定められたものです。
この検査は、保険を掛けるに値する、保険法人が提示する設計施工指針に沿った施工がなされているか、瑕疵の起きない工事がなされているか、という点を主眼に置いた検査です。保険法人の検査員や保険法人に認められた検査員が、基礎配筋の完了時と上棟後の屋根葺完了時の2回検査を行います。
建築基準法上の検査と同じく性能的な点に関しては、チェックされないものです。

この保険は、新築だけでなくリフォームに対しても任意で付保が可能となっており、リフォーム瑕疵保険をかけようとする場合、保険法人の検査員による検査があります。
リフォーム工事範囲が対象です。検査の回数は、基礎工事を含む増築の場合、増築部分の基礎配筋完了時、耐震性に関する補強部分や雨水の侵入防止に関する工事完了時、完成時の3回となっています。基礎の工事がない場合は、2回となり、耐震性や防水にかかわる工事がない場合は完成時の1回となります。

また、住宅の売買に当たって、瑕疵保険を掛ける仕組みも整備されており、付保には、保険法人に登録した検査会社の検査を受けることになります。
これは、売買対象の中古住宅に瑕疵があるかないかの検査となります。

※2 ここでいう瑕疵とは、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(品確法)第94条で定められた、構造耐力上主要な部分又は、雨水の侵入を防止する部分の瑕疵を対象としています。

③住宅金融支援機構の住宅ローンに係る検査
「フラット35又はフラット35S」の融資にあたって、融資に値する建物が建てられているかという検査で、融資の条件としても提示されている「木造住宅工事仕様書」に設定された必須仕様などが守られているかというチェックを主としています。
 この検査は、通常図面の審査が建築確認申請と同時に行われるため、審査を行った役所や確認検査機関が検査を行うことが多く、上棟後に中間検査が行われます。

④住宅性能表示制度の検査
 建物の性能を明示する仕組みの任意の制度で、性能評価機関が申請された設計図書により内容を審査し、建設段階で4回の検査が行われます。設定された性能が確保された施工となっているかを検査し確認します。これは性能にかかわる部分の検査が行われます。
第1回 基礎配筋工事完了時
第2回 躯体工事の完了時
第3回 下地張りの直前の工事の完了時
第4回 竣工時

⑤社内検査
工務店等の社内で内々に行われる検査です。担当者以外の多くの目で現場を見ることで、工事のミスを減らすことに役立つため、実施されるに越したことはないのですが、残念ながら社内検査がない工務店もあります。
検査を行っている工務店でも、タイミングの設定はまちまちで、建て主の目に触れ、施主検査で指摘を受けると修正を行わないといけないことから、事前に社内で完成時の検査を行っているところは多いと思います。
完成時には見えなくなってしまう、施工中の検査を行っているところは、あまり多くないように見受けられます。保険の検査を受けているので十分といった考えのところもあるようですが、保険の検査対象外の部分にも責任が生じる工務店としては不足と思われます。

⑥第3者検査
建て主自らが第3者に依頼して、建物が図面・各種仕様書・基準法通りに建てられているか確認するための検査で、法遵守性や性能、仕上がりについて建て主の側に立って行われる検査といえます。
 この検査は、問題の少ない建物が引き渡されるように検査を行うということから、工務店のリスク管理のための検査としても有効だと考えます。よって、工務店でも同様の検査が行えるとより良いと考えています。

次回からは、具体的な検査のポイントを挙げていきます。


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# by ju-takukoubou | 2011-07-26 11:39 | 住まいづくりをチェック