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カテゴリ:業界コトバの散歩 ( 16 )
見積書の読み方
業界コトバの散歩⑥
見積書の読み方
岩下 繁昭

見積りは予算配分を目的に
 「見積り」というのをあらためて辞書で引いてみたら、「前もって算出すること」とある。また英語の見積りであるEstimateには、予算とか概算といった意味もある。こうした本来の見積りの意味からすると、何社かの住宅建設業者に見積書を出させ、高い安いと比較するのは、その目的から外れてくる。
 まったく同じ物を作るならば、別に内訳を見なくても、予定工事価格を比較して安い方に頼めばよい。しかし住宅の見積書が前提としている物は、必ずしも同じ物とは限らない。そこで内訳を比較することになるが、これとて同じ物ではないので、比較したところであまり意味がない。
 結局のところ、出された予定工事価格が支払い可能な予算とあまり違っていないか、また予算の使い方が、求める価値に見合ったものであるかが、判断の根拠になってくる。防衛費にお金をかけるか、福祉にお金をかけるかといった予算配分である。
 したがって理想的な家づくりは、評判・経験(experience)、熱意(eagerness)、実現能力(execution)の3Eから住宅業者を決め、世の中の相場や収入などから、トータルな予算はこのぐらいにしましょう、次に一緒にその予算配分を考えましょうということになる。

見積書の比較は難しい
 見積りなしで信頼できる住宅業者が見つからない場合には、見積書をもとにどこに頼むか決めることになる。しかしこれがまた大変で、見積書はそう簡単に比較できないようになっている。
 まず費用といっても、本体工事費、付帯工事費、別途工事費などがあり、外部配管工事など敷地の条件によって変わる付帯工事費や、オプションとして選択される別途工事費は、前もって見積もれないので通常カタログなどには表示されない。見積書の合計金額に、どこまで入っているか、仕分けながら比較しないと、結果的に高いものを選ぶことになりかねない。
 また多くの人が見積書の比較の際に、高い安いかをチェックする項目に諸経費や一般経費がある。しかしこれは全く比較しても意味のないもので、住宅購入者に受け入れられるよう業界ぐるみでメーキャップした金額であると考えた方がよい。
 見積書を比較した場合、10%以上だと高いと言われるので、ほとんどがそれ以下の8%とか8.5%といったものになっている。経費には当然利益も入っているので、工事の実行予算では、20%とか25%といった数字になってくる。
 大手住宅メーカーとなるとテレビCMなど広告宣伝費や住宅展示場の経費などだけで、10%以上は必要で、工務店と同じように諸経費などと実行予算を組むと、30%以上になってくる。8%とか8.5%を超える費用は、各工事費に振り分けているのである。

坪単価に惑わされるな
 またカタログなどに坪いくらなどと、坪単価が表示される場合、建築基準法上の延べ床面積ではなく、玄関ポーチやベランダなども部分的に算入された施工面積となっている。したがって35坪の住宅だからといって坪単価を35倍しても本体工事費にはならない。
 しかしその一方で、坪単価で商売している住宅業者は、坪当たり、即ち面積当たりの単価を安くする工夫をしている。当然総2階が坪単価は安くなる。そのため下屋比率30%以上となると、差額を取るところもある。本体工事費を坪単価で決めている住宅業者から、坪単価が最も高くなるであろう限界の住宅を注文することに挑戦している人もいる。
 また坪単価はあくまでも本体価格で、付帯工事費、別途工事費が別個にかかってくる。そのため坪単価258,000円で業者を決めても、契約の段階では坪単価39万円程度になってくる。
 カタログなどに表示された坪単価では、実際の住宅は施工できないが、公正取引委員会からの排除命令は出ていない。平成18年にリフォーム業者のD社は、坪単価21万円とは別途に諸経費(7~8%)がかかるとして、注意処分を受けている。
 「注文住宅着工日本一」で公正取引委員会の排除命令を受けても、坪単価表示での排除命令を受けないのは、坪258,000円で住宅ができると思っている人がいないということなのだろうか。
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by ju-takukoubou | 2009-04-08 14:33 | 業界コトバの散歩 
リタイアメントブルー
業界コトバの散歩⑤
リタイアメントブルー
岩下 繁昭

「主人在宅ストレス症候群」
 結婚前の憂鬱がマリッジブルーであるのに対して、リタイアメントブルーは、熟年離婚前の憂鬱である。マリッジブルーで結婚を取りやめということはあるが、リタイアメントブルーは、これをうまく解消すれば、熟年離婚は避けられる。
 1947年からの3年間に生まれたベビーブーマーである「団塊の世代」の人口は、約800万人、その世代が今年2007年から60歳定年退職が始まる。「亭主元気で留守がいい」といったCMにあるように、朝会社に送り出すと、比較的楽に家事をこなし、友達などと自由な時間を過ごしてきた主婦にとって、夫の定年退職は、自由きままな生活の終わりを意味している。
 一日中顔をつき合わせることもストレスであるが、三度の食事を用意しなければならないことも主婦にとっては大きな負担になる。企業戦士であった夫の多くは、糖尿病、高血圧など成人病を抱えており、そう毎日外食というのも難しい。妻にとってのリタイアメントブルーは、医学的には「主人在宅ストレス症候群」とも呼ばれている。

社会の「居場所」をつくる
 一方、夫にとってのリタイアメントブルーは、何もすることがなく暇を持て余すこと、さらに朝から晩まで行動を指示するような妻の小言に、いちいち応答しなければならないことである。会社で部下を使ってきたのに、定年と同時に、妻といううるさい上司を持つことになる。夫のリタイアメントブルーは、「定年うつ病」とも呼ばれている。
 実は僕自身も2年前に59歳で某大学を敵対的退職(リタイアメント)した。そこでまず庭に小さな小屋を建て、趣味の木工を行うことにした。電動鉋やスライド丸鋸、角鑿盤、木工旋盤、ルーターなどを揃えたが、なにしろ木工機械の音がうるさく、近所迷惑ということで使用禁止になってしまった。
 結局のところ趣味は、騒音を出さないインターネットでのブログ作成ということになった。現在分野別に7つのブログを持っているが、「社会での居場所」の獲得といった点では、ブログはお薦めである。こうした趣味は部屋に閉じこもってネット漬けと思われがちであるが、ブログ仲間もそうであるが、ブログのネタ探しのため、外出という機会もかえって多くなる。

ロングステイを開始
 また家事の負担を減らす狙いもあって、タイのチェンマイで年間3ヵ月のロングステイを始めた。リネンの交換や掃除などのメイドサービスが週1,500円ほどと安い。屋台料理や市場の惣菜屋さんで何でも揃うので、食事を用意する必要もない。ベジタリアン・フードのキンジェー(斎)もあるので、成人病の人も食べる場所には困らない。さらにYMCAのタイ語スクール、タイ料理教室などもあり、夫婦それぞれ別な時間を過ごすこともできる。日本にいるよりはボランティアの呼びかけも多いし、参加するのに心の扉も開けやすい。
 次に僕は家の近くに農園を借りて、農業を始めた。耕したり草を取ったりするのは結構忙しいし、そればかりでなく近所の人達とのコミュニケーションの機会も多くなる。さらに野菜などを収穫し、下洗いして台所に運ぶことによって、食事の用意に間接的に参加することにもなる。

ライフスタイルを変える努力が必要
 こうしたライフスタイルを変える努力が、どれだけリタイアメントブルー解消に役立っているかはわからないが、いずれにしても「できるだけ一緒にいないようにすること」、「家事の負担を減らし、できるだけ家事は自分自身でやるようにすること」、「何らかの社会参加の機会を作り出すこと」が必要であると言える。
 こうなると、リタイアメント後の理想的な住まいは、残念ながら1軒の家を何人かで借りて暮らすハウスシェアのような家ということになってくる。十数年前に建設されたイギリスのサードエージ・ハウス(リタイアメント後の住まい)でも、1,000人の高齢者のアンケート調査をもとに、夫婦の寝室は別々になっていた。
 NHKのラジオ深夜便で朝の4時からの「こころの時代」を聞くのが日課になると、寝室は別々にということになってくる。寝室というよりは、むしろ個室で趣味や仕事もでき生活のかなりの部分ができるようなスペースがいいということになってくる。リタイアメントブルーを防ぐための住宅リフォームの第一歩は、この個室づくりから始まると言える。
 一方、リタイアメントの際に、リタイアメントブルー防止の決定版と考えた、「離れづくり」であるが、わが家もそうであるが、近所周辺を見回してもあまり活用されていない。週末にはバーでも開いて、近所の人が集まるというような、玄関が別である「離れ」のメリットを活かさない限りなかなか使われない。
 「頭の良い子を育てる住宅」が話題になっているようだが、リタイアメント世代の我々にとっては、「リタイアメントブルー防止住宅」、「ぼけない頭脳トレーニング住宅」の方が共感できるテーマであると言える。
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by ju-takukoubou | 2009-04-08 14:30 | 業界コトバの散歩 
偽装
業界コトバの散歩④
偽装
岩下 繁昭

海外メディアの「耐震偽装」報道では
 一昨年発生した耐震偽装事件、「いつ起こるかわからない不確実な災害の安全よりは、目先の利益を追求する」といった業界の構造的な事件ではないかと考えられたが、結局は個人的な要因による極めて特殊な事件として処理されてしまった。
 ところが今年になってまたも「耐震偽装」が発覚し、「耐震偽装」が業界の構造的な要因から起こっているのではないかといった疑いが持たれても、しかたがない状況になってきている。
 偽装という言葉、普段われわれは辞書にもあるように「他人の目をごまかすための装いや行動」といった意味で使っており、10年前ならば「耐震偽装」といってもぴんとこなかったはずだ。
 そのためか日本の耐震偽装、海外のメディアでは、"falsified quake-resistance data"といった表現で報道されている。直訳すると「耐震データの偽造」となり、これならば誰にでも理解できる。
 消費者を裏切る「○○偽装」が、日常用語として定着したのは、2002年オーストラリア産の牛肉を国産と偽って販売した雪印「牛肉偽装」事件があってからである。2005年には、中国、北朝鮮のアサリを国内産と表示して販売したアサリ偽装表示事件も起こっている。

見た目で判断できない「偽装」
 肉類、魚介類、農産物は、見た目では産地や種類の判断が難しく、表示を頼りにするしか方法はない。それだけに偽装表示事件が次々と起こされることになる。今年の1月には、香港の大手スーパーで「タラ(codfish)」と表示・販売されていた魚の切り身を食べて14人が下痢を起こすといった事件があった。原因は消化できないワックスエステルを含んだ「バラムツ(oilfish)」を「タラ」と偽装表示したことだという。この事件で悪いのは輸入業者で、輸入元のインドネシアの漁業管理当局に、codfish(oilfish)といった輸出証明書を書くよう依頼したのだという。
 日本ではoilfishは輸入禁止魚になっているが、切り身を冷凍とした、「偽装タラ」は見た目にはタラで、スーパーの担当者も気がつかなかったに違いない。日本でも10年程前までは、アルゼンチン沿岸産の「メルルーサ」を「ギンダラ」と表示してスーパーで売っていた。メルルーサの場合、タラ科に属し安全に食べられるということもあって、偽装事件として今ほどには騒がれなかった。
 住宅も耐震性も含め、見た目では判断できないものが少なくない。消費者側からすると、「耐震偽装」だけでなく、住宅でもさまざまな偽装が行われているのではないかと疑いたくもなってしまう。
 肉類、魚介類の産地偽装と同様、桧、杉といった材木も有名ブランドの産地の木材市場に運び、ブランド材として加工されるといった産地偽装の話は、聞いたことがある。さらに住宅建築業者の中には、乾燥材を使うと言って実際には乾燥度の低いグリーン材を使い、居住後何年かで、引き戸などの建て付けの悪さが目立ち始め、建物が歪んできたことがわかるといった、「乾燥材偽装」を行っているところもある。

「効用偽装」
 また「耐震偽装」に引き続き発覚した『発掘あるある大辞典』の納豆ダイエットのデータ捏造も視聴者を裏切る事件であるが、これも海外のメディアでは、"falsified data in a natto diet program"で、「耐震偽装」と同じ表現が用いられる。『発掘あるある大辞典』も納豆のダイエット「効用偽装」と言うこともできる。
 食品だけでなく住宅でも、環境にやさしく健康なものが求められており、「○○パワーの健康住宅」、「頭のよい子が○○○」など、『発掘あるある大辞典』に登場しそうなキャッチコピーで住宅の販売プロモーションが行われている。こうした住宅が納豆ダイエットと同様、「効用偽装」であるかどうかはわからないが、こうした住宅の多くは、データ捏造以前に、納得できるだけのデータが提供されていないといった問題がある。
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by ju-takukoubou | 2009-04-08 14:29 | 業界コトバの散歩 
工務店と大工の違い
業界コトバの散歩③
工務店と大工の違い
岩下 繁昭

工務店という建設業
 工務店は木造住宅を主体にした小規模建築業者で、建設業法では新築住宅の建設や大規模な増改築などの「建築一式工事」の場合、1,500万円以上または延べ面積150㎡以上の木造住宅の工事では、建設業の許可を取得しなければならないということになっている。工務店とはこうした許可を受けた事業者である。
 一方、大工は、技能者で資格としては、厚生労働省の建築大工技能士がこれに相当するが、必ずしも建築大工技能士でなければ建築大工作業を行ってはいけないということではない。

法的な変化によって
 大工が工務店の社長といったケースも少なくない。大工はもともと棟梁として、家づくりを請け負ってきているが、1949年に建設業法が施行され、木造住宅の工事での建設業の許可が必要になった。工務店の社長といった顔を持つ大工は、当然建築大工技能だけでなく、経営者、工事管理者としての能力が求められる。
 ここ数年、大工・工務店によって建設される住宅は、注文戸建て住宅36万戸の半分の18万戸といった程度になっている。さらにその大工・工務店の18万戸の内訳であるが、その半分の9万戸が年間4棟以下の大工・工務店、残り半分の9万戸が5棟以上の工務店といったことになっている。

最小規模の元請け大工・工務店の後継者不在問題
 この年間4棟以下の大工・工務店は、大工が工務店の社長で、大工なのか工務店なのか一般の人にはわかりにくい存在である。だからこそ今回のテーマの「工務店と大工の違い」も出てくることになる。こうした大工なのか工務店なのかわかりにくい、年間4棟以下の大工・工務店によってつくられる9万戸であるが、今後の10年間で大きくその数を減少させるものと考えられている。
 減少の理由の1つは、こうした大工・工務店の経営者の高齢化がある。これからは後継者がなく廃業していく大工・工務店が少なくないはずだ。さらに地縁、血縁では仕事が取れなくなり、手間請けに向かわざるを得ない大工技能の優れた工務店の社長も、知り合いの中に数多くいる。大工が工務店の看板を出せば仕事がくる時代ではなくなってきている。
 こうして1950年代から始まった大工の工務店化が、半世紀を経て終焉を迎え、再び大工の技能者化が進むことになる。利益を追求するレストラン経営者と、黙々と働く調理師といった関係で、夢がない時代がやってきそうであるが、ユーザーが味に当たり外れのない、まずまずのレストランを求めているのだから仕方がない。

大工というオーナーシェフの可能性
 オーナーシェフのレストランがあるのと同様、オーナーシェフの工務店ももちろん可能である。問題はオーナーシェフのレストランには客の方が車に乗ってやってくるが、オーナーシェフの工務店は、シェフ自ら遠くの現場に行かなければならないということである。
 一方、大工と工務店との関係にはさまざまなものがある。1つは社員大工か常傭大工かといった関係である。大工としての育成期間中は社員化して、一人前になった段階で常傭大工にするといった方法が一般的である。さらに手間が見えにくいリフォーム工事などを担当させるため、高齢化した大工を社員化するといったことも行われている。
 また常傭大工との契約には、坪請けと手間請けとがある。坪請けは施工面積をもとに金額を決めて支払うもので、手間請けは実際にかかった稼動日数に応じて支払うものである。
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by ju-takukoubou | 2009-04-08 14:27 | 業界コトバの散歩 
工務店とビルダーの違い
業界コトバの散歩②
工務店とビルダーの違い
岩下 繁昭


工務店名称の普及は戦後
 工務店とビルダーの違いを解説するのは極めて難しい。というのも工務店を英語に訳す時は、ビルダーという言葉を使わざるをえないからである。しかし家をつくろうとする人は、工務店に頼んだとは言うが、ビルダーに頼んだと言う人はまずいない。ビルダーという言葉は、業界用語であって一般用語ではないと言える。
 また工務店という言葉も曖昧で、一般には小規模建築業者であるが、大手ゼネコンも工務店という名前がついているので紛らわしい。木造住宅建築業者に工務店という名前が付けられたのは戦後のことであり、法人化した方が税法上優遇されることから、1950年代終わりに一斉に法人化され、その多くが○○工務店という会社名にしたからである。
 工務店もビルダーも一般用語としては、建築業者で両者に違いはない。そこで業界ではどのような建築業者を工務店と呼び、またどのような建築業者をビルダーと呼んでいるか、属性の違いを解説することにする。

(1)工法の違い
 在来軸組木造住宅を主としているのが工務店で、ツーバイフォーや軸組+パネル工法など新工法を主としているのがビルダーである。もともとビルダーという言葉が使われるようになったのは、1970年代にツーバイフォー工法がオープン化され、それを担う建築業者を工務店ではなく、ビルダーと呼んだところから始まる。

(2)出自の違い
 多くの工務店の出身は大工や木造住宅建築業であるが、ビルダーは不動産業や建設業、他産業から参入したところが多い。もっとも工務店も二代目、三代目になると大学の建築学科卒が多くなり、設計が好きで得意とするので、独自のスタイルを持った住宅をつくっているところも少なくない。

(3)規模の違い
 概ね30棟以下が工務店で、300棟以上となるとビルダーと呼ばれる。各県に300棟以上のビルダーが数社存在し、1,000棟以上となると数県以上をその市場としなければ規模の維持は難しい。また100棟程度の建築業者は、住宅専業では経営が難しくビルダーと呼ばれない所が多い。

(4)経営志向の違い
 売上高を拡大し、利益をより多くしようとするのがビルダーである。これに対して工務店は、タイ国王による農村の自給自足プロジェクトである「吾唯足るを知れ」と同様に、知足経済学に基づいて無理な拡大は望まない。

(5)営業手法の違い
 地縁や顧客の紹介や社長のトップセールスに頼るのが工務店、営業スタッフを雇い、モデルハウスなどで顧客を開拓するのがビルダーである。

(6)広告・宣伝手法の違い
 電柱広告程度が工務店、ビルダーとなると道路に大きな看板を出したり、ラジオCM、テレビCMを出したりもする。

(7)地域への根の下ろし方の違い
 地域に密着して深く根を下ろしているのが工務店。需要が期待できる場所ならば、迷わず進出や移動してゆく、ビルダーは市場という湖の浮き草のような存在なのである。

(8)分譲住宅を行うかどうかの違い
 注文住宅だけでなく分譲住宅にまで手を出すのがビルダーで、とくに団塊ジュニア世代をターゲットにしたローコスト分譲専門の建築業者をパワービルダーと呼んでいる。これに対して工務店は、土地の仕入れといったリスクを伴う分譲には手を出さない。

(9)作品か商品かの違い
 多くの工務店にとって住宅は一品生産の作品であり、ビルダーにとって住宅は、量産を前提にした商品である。
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by ju-takukoubou | 2009-04-08 14:23 | 業界コトバの散歩 
パワービルダーって何? 
業界コトバの散歩①
パワービルダーって何?
岩下 繁昭


分譲戸建て住宅の牽引役
 パワービルダーの明確な定義はないが、一般には住宅一次取得者層をターゲットにした床面積30坪程度の土地付き一戸建住宅を2,000~4,000万円程度の価格で分譲する建売住宅業者を指している。パワービルダーという呼ばれ方がなされるようになったのは、2000年頃からである。首都圏で分譲戸建て住宅事業を行う業者は、数千社以上もあり、そのほとんどは年間数十戸程度の中小業者である。こうした中で、パワービルダー大手5社の首都圏における分譲戸建て住宅市場における販売シェアは、1998年に10%であったが、2003年には24%にもなり、そのパワーが注目された。
 しかもパワービルダーが牽引者となって、この間の分譲戸建て住宅の着工戸数も急増している。1998年から2002年までは、ほぼ12万戸であったのが、2004年には14万戸にもなっている。この間、注文戸建て住宅の着工戸数は減少してきているので、それだけにパワービルダーの戸数増大が目立ったわけである。
 一方、分譲マンションの建設戸数は、1998年16万戸から2000年には22万戸程になったが、その後はほぼ横ばいになっている。これはパワービルダーの分譲する戸建て住宅と、分譲マンションの価格差が縮まってきたからである。住宅購入者には、まだまだ強い戸建て住宅志向がある。パワービルダーの建売住宅の低価格化によって、マンションか戸建て住宅かといった選択が可能といった中で、パワービルダーの分譲戸建て住宅を選ぶ人が多くなったのである。

イギリスのビルダーに酷似
 多くの場合、パワービルダーは土地取得から竣工までの期間は3~6ヵ月程度と短い。当然ながら、大掛かりな造成が必要なものは短期間で完成させることができないので、現場は5~6棟程度の小規模物件が中心となっている。
 しかし土地の仕入れには力を入れており、売りやすい物件のみ購入している。安いからといって立地の悪い土地は仕入れない。それだけに販売価格を抑えるには、住宅の建設コストをいかに下げるかが必要となる。
 採算性を確保しながら、値ごろ感のある価格設定を実現するため工期短縮が必要となってくるので、プレカット部材の使用や、仕様の標準化などの工夫を行い工期は2ヵ月程度となっている。さらに資材の大量仕入れにより、材料費を下げるなどの努力を行っている。
 日本のパワービルダーのビジネスのスタイルは、イギリスのビルダーにあまりにも酷似している。イギリスでは彼らは投機的建設業者(Speculative Builder)とも呼ばれている。
 こうしたイギリスのビルダーによって供給される住宅の平均規模は80㎡程で、その中に3寝室といったものであるので、ベッドと壁との距離は60cm程度で、これでは日本ではいくら安くても売れないと思われるほど狭い。住宅会社もこれを質が高い住宅とは考えていないが、最も売れ行きの良い価格で販売できるということで続けているのである。購入するのは住宅の一次取得者層であるのでこれもしかたがない。

投機的建設業者
 この狭いが購入しやすい価格の住宅を一次取得者層に販売しているのも、日本のパワービルダーとイギリスの投機的建設業者と呼ばれるビルダーの共通点の一つである。イギリスのビルダーのビジネスで重要なことはlocation(場所)、 Timing(時期)、 Price(価格)を間違えないことである。住宅の中身はこれらの後に続くものである。日本のパワービルダーの行動を見ていると、この3つのポイントは同じように当てはまりそうである。
 イギリスのビルダーは土地の開発から利益を得ており、それが投機的建設業者(Speculative Builder)と呼ばれるゆえんでもある。この点は日本のパワービルダーは違っていて、土地を安く仕入れ高く売るといった開発ビジネスでは利益を上げず、いかに住宅を安く作るかにより利益を上げている。
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by ju-takukoubou | 2009-04-08 14:15 | 業界コトバの散歩