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カテゴリ:業界コトバの散歩 ( 16 )
マイホーム履歴書
業界コトバの散歩⑯
マイホーム履歴書
岩下 繁昭

イギリス版住宅履歴書
 英国では2007年12月14日以降、すべての住宅(中古住宅)の販売において、Home Information Packを付けることが義務付けられた。これは住宅の履歴書といったもので、ちょうどわが国で検討されている超長期住宅での住宅履歴書づくりでも大いに参考になるはずだ。
 年間、英国の住宅市場で流通している住宅は約160万戸程で、その90%は中古住宅となっている。日本ではまったくその逆で、90%が新築住宅となっている。英国でも新築住宅については、HQI(Housing Quality Indicator=住宅品質表示)で10項目からなる性能表示がなされている。そこで今回、その9倍もある中古住宅の品質表示の基準が政府により出されたわけである。
 Home Information Packは、省エネ性能報告書類、不動産権利書関係書類からなるが、日本ならばこれに耐震診断報告書も必要となってくるだろう。さらにオプションとしてホームインスペクターによるHome Condition Reportの添付が推奨されている。

構造化した辞書のように
 このHome Condition Report作成の技術基準が英国地域社会地方政府省によって、提供されている。Home Condition Reportは、いつでもどこでも誰でもが読め、かつ活用できなければならないので、XMLの書式で記述される。
 XMLとは、拡張可能なマーク付け言語(eXtensible Markup Language)のことで、インターネットのWebの記述に使われているHTMLと同様にタグを持ちいた記述言語である。HTMLでは固定のタグしか利用できないが、独自のタグを利用できる。そのため、論理的なタグを付けることができるため、ドキュメントがわかりやすくなる。
 Home Condition Reportは、総合情報(section A)、概要(section B)、登記・衛生・安全情報(section C)、外部状況(section D)、内部状況(section E)、設備状況(section F)、敷地状況(section G)、エネルギー性能(section H)の8セクションから構成されている。
 XMLで記述するために、構造化された辞書が用意されている。たとえば外部状況の1項目である雨樋の状況の場合、部分の名称として、軒樋、立樋、突出口、ジョイント部などが、またその不具合の状況として、漏れている、外れている、不完全である、欠損している、錆びている、ひびがある、破損している、曲がっている、汚れがある、傷があるなどの語句が用意されている。

ホームインスペクターのツールとして
 現在英国には、6,000人程のホームインスペクターがいて、こうした辞書を用いて、年間160~180万件の住宅の健康診断を行っていく予定である。診断結果であるHome Condition Reportは、Home Condition Report Register Holderに登録される。 中古住宅の売買の際には、住宅ローン業者や購入者がこの登録センターからHome Condition Reportを入手して、担保としての価値のチェックや、リフォーム工事計画を立てるのに役立たせることができる。
 なおホームインスペクターの資格であるが、英国の場合他の資格と同様に資格試験によるものではない。大学や専門学校のカリキュラムがその資格を与える内容のものか認証されていて、その授業を受け単位を取得すれば資格が与えられるようになっている。
 カリキュラムの認証はNVQ(National Vocational Qualification=英国職業能力認定)として行われる。資格試験に合格すればといった日本の試験偏重主義は、国際的な資格としては認められにくいものとなっている。またこうしたさまざまな資格が大学の単位を取ることにより得られるので、大学に通う学生のかなりがpert time student=科目履修生となっている。
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by ju-takukoubou | 2009-04-08 15:08 | 業界コトバの散歩 
アビィフィールドハウス
業界コトバの散歩⑮
アビィフィールドハウス
岩下 繁昭

アビィフィールドハウスは、日常生活が不安になってきたが、高齢者介護施設ではなく、自宅のような環境で暮らし続けたいと考える高齢者のための「小規模グループハウス」である。アビィフィールド(Abbeyfield)は、ロンドンにある通りの名前で、1956年、アビィフィールドにある1軒の家で、近所の一人暮らしの高齢者の孤独を支えるために、リチャード・カーゴム氏がハウスキーパーとなってグループハウスを開いたことから、「アビィフィールドハウス」として広まっていった。
 イギリス各地に785軒の アビィフィールドハウスがあり、8,000人以上の高齢者が入居している。さらに世界の16の国と地域に広まり880軒のハウスに、約9,500人の居住者が住み、15,000人以上のボランティアがいる。日本でも2006年に岐阜県のアビィフィールドハウス「なかよし村」が運営を始めている。

家庭的な雰囲気のアビィフィールドハウス
 「なかよし村」も10室というように、 アビィフィールドハウスは少人数で、家庭のような雰囲気の中で、互いに助け合って暮らしていく。入居資格は原則として60才以上で、自立した日常生活ができることが条件となっている。
 32~38平米といった個室に、ミニキッチン、トイレ、洗面があり、浴室は共用となっている。居住者は個室に使い慣れた家具を持ち込め、プライバシーが尊重され、友人を招くこともできる。
 ハウスには、家事全般に目を配り、食事を用意し、居住者を見守るハウスキーパーがいるが、買い物、調理の手伝い、庭の手入れなど、できることはお互いに分担し合う。
 海外では地域のボランティアがハウスキーピングの多くを担うことになるが、日本ではなかなか難しい。しかし地域の中で思いやりとふれあいの場となることを目指している。介護が必要になった場合、訪問介護サービスなどを利用しながら、できるだけ長く住み続けられるようにしている。
 入居費用は、地域標準家賃+食費+運営費で13~14万円ほどになっている。

住宅型有料老人ホーム
 「有料老人ホーム」には、施設内の介護スタッフによる介護サービスを受けることが可能な「介護付有料老人ホーム」、介護が必要になった場合でも、訪問介護等のサービスを利用しながら、引き続きその施設でサービスを受けることが可能な「住宅型有料老人ホーム」、介護が不要な高齢者が入居できる有料老人ホームで、要介護となったら契約を解除し、退去しなくてはならない「健康型有料老人ホーム」の3つがある。
 アビィフィールドハウスは、このうち「住宅型有料老人ホーム」ということになるが、高額な入居一時金が不要なこと、少人数で、家庭のような雰囲気の中で、互いに助け合って暮らしていくといったことが特徴になっている。

元気な老人ホームは立地も重要
 「なかよし村」の入居費用は、他の同様な施設に比べ高くはない。それでも地域標準家賃は6~7万円、食費+運営費は夫婦2人となると14万円で、合わせると21万円程で、入居するにはそれまで居住していた家を売るか貸すかしなければ、年金だけで暮らし続けるのは難しい金額である。
 住み慣れた住まいを離れてとなると、思い切って気候の温暖な所へといった人も少なくないはずだ。しかし入居するのは元気な高齢者であるので、もてあます程ある時間をどう過ごせるかがまず問題になる。映画、趣味の工芸、家庭菜園、スポーツなどができる場所が近くになくてはならない。
 さらに医療施設が近くにあるかも重要であるし、訪問介護等のサービスを受けやすいかなども立地の重要なポイントになる。
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by ju-takukoubou | 2009-04-08 15:05 | 業界コトバの散歩 
脇が甘い
業界コトバの散歩⑭
脇が甘い
岩下 繁昭

500種類の料理で火加減研究
 1970年代後半に、自動ガス調理器の開発を、女子栄養大学と一緒に行った。500種類程の料理を作ってもらい、その際のガスレンジの火加減をデジタル温度計で測定した。ここでわかったのは、多くの料理は水の沸点を利用しており、多少の時間の違いは、それほど問題ないということであった。人類の何万年という歴史で、燃焼温度を厳密に管理しないと失敗するようなものは、家庭料理から自然淘汰されてきたということである。
 この時、大いに参考になったのが日本放送出版協会から出ていた河野友美・著『味のしくみ』という本である。もう35年以上も前の本で絶版になっているが、おそらく日本で初めて調理を科学的に解説したものである。

道具を使うコツは脇を締めること
 2001年からの4年間ものつくり大学で、インターネットを使った技能教育、WBT(Web Based Training system)の開発に携わったが、最終的な目標は『味のしくみ』に習って『技のしくみ』という本を書くことであった。しかし、大工技能にしても石工技能にしても、手工具を正しく使うコツは、「脇を締める」といった単純なことであることがわかった。「脇が甘い」と手が勝手な動きをしてしまう。脇を締めることによって、手、腕は体と一体となり、機械の一部のように正確な動きが可能となる。

脇が甘いの脇とは
 恥ずかしい話であるがその歳まで、「脇が甘い」の脇とは、そばとか周辺といった意味で、脇が甘いとは、身の回りを固めるのが甘く隙があることであると思っていた。「脇が甘い」とは、「相撲で、腕で脇を締め付ける力が弱いために、相手にまわしを取られやすい。また、守りが弱い」ことだと辞書を見て知った。脇を締めるというのは、肘を体につけて動かないようにするという動作で、解剖学的には大胸筋などを使って上腕を内に絞ることだという。
 とはいっても、これをあまり意識しすぎると、今度は脇から上腕部にかけて力が入りすぎて、スムースな動きができない。試しに脇を強く締めようと上腕部まで思いきり力を入れると、指先まで固定された感じになってしまう。

脇の甘さが大事につながる
 特に脇が甘いか、そうでないかで、結果が大きく違ってくるのは、鉋、鋸などを使う時である。残念ながら最近では鉋や鋸を使う機会はないが、このところ料理を作ることが多く、その際に包丁を使う時は、脇を締めて正しい姿勢で調理するようにして、脇が甘いという言葉を思い出している。
 また、電動工具を使う時は、脇の甘さは怪我などの事故に直結する。脇が甘いと手が勝手に動き、結果として人間の腕力以上に力のある電動工具が、勝手に動くことになるからである。危ないものに触れる時は、脇を締める。脇の甘さは大事につながる。これは我々のすべてのふるまいにも共通しているようである。
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by ju-takukoubou | 2009-04-08 15:01 | 業界コトバの散歩 
逃げ
業界コトバの散歩⑬
逃げ 
岩下 繁昭

2002年、2年目のものつくり大学で2年生に、クラインガルテンのラウベ(ドイツの市民農園の休息小屋)の設計、施工実習を毎週1日半、半年かけて行った。基礎工事から屋根葺きの板金工事、建具づくりまで、小屋づくりのすべてを15人のチームで行うというもの。学生にとって結構大変なものであったが、むしろ設計から施工まで総合的に教えたことがない教員の負担の方が大きかった。
 そのため、この実習は、多くの教員の反対に合い、3年目からはできなくなってしまった。この実習の中で、学生たちにその必要性を訴えても理解されず、実習を通して最後に学生が理解してくれたものに「逃げ(にげ)」という言葉である。

逃げは積極的な余裕
 学生たちは、「逃げ」とはまさに何かから逃げることで、むしろ逃げないでぴったりと正確につくる方が、技能技術的に高度なものであると考えた。僕が「逃げ」を取らなければと言っても、普段の僕の生活態度を見ている学生は、まあ適当にやれとしか理解してくれない。
 「逃げ」はむしろ積極的で計画的なものである。まず施工の各段階で取り付けられる部材には「製作誤差」があるし、それ以前に取り付けられた部材の「施工誤差」もある。そこに自らの「施工誤差」が加えられるので、これら3つの誤差を吸収してくれる余裕が必要で、それが「逃げ」と呼ばれるものである。

竣工後の変形に対する「逃げ」
 材木の樹皮に近い側を木表(きおもて)、その反対側を木裏(きうら)と呼んでいる。木表は光沢がよく、きれいに仕上がり逆目が立たず、ざらざらになりにくい。このため造作材の見える側、人が触る側は木表にするのが一般的である。
 一方、木は、その性質上木表側に反り、幅、長さとも木表側が凹面になる。そのためベランダなど外部に張る場合、木表を見える側にすると、凹面になり雨水が切れにくく、腐りやすくなることから、木裏を見える側にするのが一般的で、これも変形に対する逃げである。

逃げがない平面計画
 「逃げ」はさらに、平面計画でも使われる。実は学生に「逃げ」の必要性を論じた僕であるが、皇太子のご成婚の年に建てた僕の東京の家は、敷地27坪に地下1階地上3階建てということもあり、まったく「逃げ」がない家になっている。
 そのため今困っているのが、冷蔵庫と洗濯機の設置スペースである。いまや洗濯機はドラム式が一般的で、15年前の洗濯機に比べ奥行きが増している。洗面脱衣室に洗濯スペースがあるのだが、問題は洗面脱衣室の出入り口の引き戸の有効開口が58cmしかない。この幅ではドラム式の洗濯機が入らないのだ。
 また冷蔵庫スペースであるが、これもぴったし60cmで新築当初に冷蔵庫を入れるのに、冷蔵庫の脇の壁の前面にあるスイッッチ・プレートに当たり、これを一時的に外して入れる始末であった。
 当時、技術の進歩で設備機器は必ずコンパクトになると考えていたが、予想に反してその後登場したものは、大きくなってしまった。
 「逃げ」は一見、隙間であり無駄な空間でもある。しかし適当な「逃げ」をとっておかなければ、将来かならず後悔することになる。「逃げ」の重要性を今改めて実感しているところである。
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by ju-takukoubou | 2009-04-08 14:58 | 業界コトバの散歩 
マルチハビテーションとは
業界コトバの散歩⑫
マルチハビテーションとは
岩下 繁昭

マルチハビテーションとは、複数の場所での居住のことで、時代とともにその意味合いも変わってきている。
 当初は都市部の狭小な敷地の住居やマンション(シティーハウス)に住む勤労者が、都心から遠く離れた郊外や田舎に広い家(カントリーハウス)を持ち、平日は都市部のシティーハウスから通勤し、週末は緑豊かなカントリーハウスで過ごすといったものであった。
 これは都市部での住宅・土地問題の解決策として、当時の建設省(国土交通省)が打ち出したものである。
 さらに国土交通省は2005年に、「二地域居住」といったライフスタイルを提唱している。これは都市部の団塊の世代のリタイアで、都会に暮らす人が週末や1年のうちの一定期間を農山漁村で暮らすというもので、田舎で暮らす期間としては、年間1~3ヵ月連続、あるいは毎月3日以上で通算年間1ヵ月以上としている。

田舎で暮らすマルチハビテーション
 一方総務省は、過疎化の進んだ地域の活性化のために、「交流居住」と名づけマルチハビテーションを推進している。交流を目的として、都会と田舎を往き来するライフスタイルを交流居住とし、各地方自治体とともに、「ふるさと回帰フェア」などで都会からの積極誘致を図ろうとしている。最終的にはUターン、JターンやIターンなどで、過疎化した田舎での居住者増加を狙ったものである。
 マルチハビテーションの場合、住民票をどちら側に出すべきかといった問題がある。住民税、国民健康保険料、介護保険料などは、地域によって料率が違っているし、公的なサービスのレベルも異なっている。
 例えば東京都では高齢者のインフルエンザの予防接種料は、2,200円であるが、埼玉県の多くの市では1,000円となっている。しかし過疎で有名な長野県栄村では村の補助金は1,100円で個人負担は2,400円と最も高い。過疎化の進んだ地域の活性化というならば、都会の居住先ではなく、地方の居住先に住所を移すべきであるが、福祉の負担と恩恵といった点では割り切らざるをえない。

我海外でロングステイのマルチハビテーション
 またバルブ景気の時代に通産省によって提唱された「シルバーコロンビア計画」は、リタイアメント後の第二の人生を、生活費の安い海外で豊かに過ごすプログラムであったが、結局は冬の寒い時期は、気候の良い南の国で過ごす「ロングステイ」といったライフスタイルを選択する人が多くなった。
 タイでは冬だけでなく、夏も暑い日本を離れロングステイする人も少なくない。地球温暖化やヒートアイランドなどで、夏もタイの方が過ごしやすいからである。
 日本の住まいはそのままにして固定資産税や光熱費だけを払い、海外転出届けを出し、海外をベースに、年に数ヵ月を日本でといった人もいる。タイやマレーシアなど東南アジアならば物価が安く、日本のわずかな年金だけで暮らしていくことができる。
 こうした場合、健康保険をどうするかが問題となる。住民票がないと日本の国民健康保険には入れない。日本の国民健康保険は、海外で支払った治療費は補填してくれるが、海外旅行保険では、日本滞在中の治療費などは補填してくれない。そのためには一時帰国担保特約を付けた海外旅行保険に入り、日本での滞在中も保険が使えるようにするといった方法もある。また現地で日本滞在中のための海外旅行に入るといった方法もある。
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by ju-takukoubou | 2009-04-08 14:55 | 業界コトバの散歩 
地産地消とGマーク
業界コトバの散歩⑪
地産地消とGマーク
岩下 繁昭

「地域材」と「地域財」の違い
 マスター工務店に登録されている埼玉の小林建設が、地域の工務店として初めての、グッドデザイン賞を受賞した。受賞した「杉の家」でデザイナーが考えた課題は3つに集約されており、この課題への取り組みが、審査員に高く評価されたのである。
 その課題とは、「①地域の財で地域に生きる住まいをつくる」、「②木の持つ美しさを最大限に引き立てるデザイン」、「③地元の匠とともにずっと家守りができる住まい」、であった。
 住まいづくりでの「地産地消」が叫ばれているが、地域産材を使うことが住まいづくりの地産地消」ではない。小林建設の小林伸吾さんが「地域の財で地域に生きる住まいをつくる」と、材ではなく財という表現をしたのは、まさにその違いを突いている。
 小林伸吾さんのいう財には、地域産材だけでなく、地元の匠など地域の生産組織も含んでいる。地域の材を使えばと言ってもあまり説得力がないが、地産地消によって森林だけでなく住まいづくりの生産組織が活かされるのなら、地域に住み続けなければならない住まい手の理解と共鳴は受けやすい。
 さらに小林伸吾さんの「地元の匠とともにずっと家守りができる住まい」が住まいづくりでの「地産地消」の意味をより明快なものにしてくれる。

我が家は「自産自消」
 住まいづくりを含め、最近の「地産地消」は、ちょっと神がかっているところがある。その極にあるのが、「身土不二」で「地元の食品や自然の旬の時期の食品のみが健康に良い」というものである。「身土不二」は仏教用語で、「身」は今までの行為の結果で、「土」は身がよりどころにしている環境で、両者は切り離せない関係にあるという意味だそうだ。
 しかし「身」=今までの行為の結果と言っても、僕のように長野県に生まれ約20年間長野で育ち、その後の40年間は東京で働き、老後のこれからは埼玉県で過ごすといった者にとって、「土」=身がよりどころにしている環境といっても、あまりリアリティーがない。
 むしろ「地産地消」の反対にある「遠産遠消」の問題ならば、理解しやすい。今年もわが農園で落花生を収穫したが、安いピーナツはすべて中国産である。落花生は病害虫に強いので中国でも僕のように完全無農薬で栽培しているものと思われるが、ピーナツになるまでのその後の処理に不安は残る。これに対してわが家のピーナツは「自産自消」でこれ以上に安心なものはない。
 「地産地消」のいいのは、見えるところで知っている人が作っているということである。そして「地産地消」によってこそ見えるところで知っている人が作るといった住まいづくりの仕組みを守り続けることができるということなのである。

我が家は「遠産遠消」だった
 僕の終の棲家は、地元の超優良経営工務店によるものであるが、残念ながら材木は水も滴る外材、部材部品は松下電工とトステム、「遠産遠消」のモデルハウスである。わが家を建てて潤ったのは、そのマスター工務店とはるか彼方のメーカーだけである。
 地域の住まいづくり生産環境の維持に貢献できなかった罰として、僕の終の棲家は、小林伸吾さんの言う「地元の匠とともにずっと家守りができる住まい」は期待できそうにもない。なにしろ文句言っても来てくれるのは、何もわからない工務店の営業担当者と、メーカーの営業スタッフである。肩書きはりっぱであるが、その場しのぎの答えしか返ってこない。
 もう20年以上前であるが、会社が東急東横線の学芸大学にあった頃、購入したパソコンのプリンターの調子が悪い。そこでメーカーであるNECに電話したところ、ありきたりに応答しかしてくれない。そこでどこで作ったか誰が作ったかNECに聞いたところ、偶然にも学芸大学から同じ沿線の武蔵小杉にある工場だという。
 そこで武蔵小杉のNECの工場に電話すると、たまたまパートの人がプリンターのヘッドが左右に動く軸に油を塗るのを忘れた週があるという。きっとその週の製品ではないかという。急がないならば、今日会社の帰りに寄るが、お急ぎならばシェルのミシン油をヘッドの移動シャフトに塗ってくださいとのこと。
 特に急がなかったが、この対応に感激し、ミシン油を買いに行きシャフトに塗ったところ、プリンターは快調に仕事を始めた。「地産地消」の良さを忘れないために、20数年経った今も、このシェルのミシン油は記念に残しているが、終の棲家づくりには活かされなかった。
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by ju-takukoubou | 2009-04-08 14:50 | 業界コトバの散歩 
200年住宅って何?
業界コトバの散歩⑩
200年住宅って何?
岩下 繁昭

首相就任で追い風も
 福田首相の記者会見の席上で、「200年住宅」という言葉が出てきて、びっくりした人も少なくないだろう。実は福田康夫氏は、自由民主党の住宅土地調査会の会長として、この「200年住宅ビジョン」を提言してきており、首相就任で「200年住宅ビジョン」の実現、普及に追い風が吹こうとしている。
 「200年住宅ビジョン」は、少子高齢化の進展による福祉負担の増大、地球温暖化や環境対策からのCO2削減と産業廃棄物削減のため、フロー消費型社会からストック型社会への転換が急務となり、ストック重視の住宅政策への転換が求められ、戦後一貫して進められてきた量の追求といった住宅政策を支えてきた「住宅建設計画法」に代わって平成18年には「住生活基本法」が制定されている。
 また地価の右肩上がりの上昇といった土地神話の崩壊により、資産としての住宅が土地に頼っていただけでは、資産価値が形成できなくなってしまったことも、「200年住宅」を進める大きな要因になっている。住宅のロングライフ化を進めることによって、土地+住宅で担保価値を高めようというもので、平成20年度には住宅ローンのフラット35の償還期限の上限を35年から50年に延長することも検討されている。

脱消費財としての住宅へ
 十数年前にセンチュリーハウジング・プロジェクトという100年住宅が推進されたが、今度はその倍の200年住宅。なぜ100年ではなく200年なのか、耐久性の確保といった技術的な面からは、100年も200年もそう変わりがない。
 しかし100年だとその住宅を引き継ぐのは孫の世代で、個人の資産としてまだまだ現実的なものがある。しかし200年住宅となると、最後に引き継がれるのが150年先だとすると、来孫(らいそん)というらしいが、孫の曾孫の世代である。ここまでくると個人の資産といっても想像の域を超え、むしろ社会的資産ということになってくる。住宅を個人資産から社会的資産へが、200年住宅のねらいでもある。戦後の持ち家政策が、結果的に住宅を消費財にしてしまった反省でもある。
 「200年住宅」の具体的なイメージであるが、構造躯体の耐久性、耐震性の向上、内装などインフィルの可変性の確保、省エネルギー、バリアフリーなど次世代でも有用な質の確保、住宅履歴書の整備と計画的な維持管理、まち並みとの調和などが挙げられている。
 今建てられている住宅も、長持ちさせようと思えば、100年以上はもつはずだ。住宅の寿命を短くさせているのは、新しい住宅に建て替えようといった住まい手のライフスタイルと、地震や風水害など天災や空襲など戦禍による被害である。

ハードより技術サービス者の生存環境に左右される
 「家を持つこと」=「気に入った中古住宅を購入し改装する」が、当たり前になっているイギリスでも、住宅の平均寿命は76年程である。200年住宅となると、この先200年間、予想を超えた大地震や、世界大戦が起こらない限り、新たに住宅は建てられず、あるものを修理しながら使い続けるといった覚悟が必要となる。
 住宅の寿命は、建物そのものというよりは、住まい方や維持管理の仕方が大きく左右してくるので、「200年住宅ビジョン」は、「200年持つ住宅」を新たに作るというよりは、現在建っている住宅の中で比較的質が良いものを、今後100年以上は持たせる技術及びサービスの構築と考えた方が、より現実的であると言える。
 我々の健康の維持と病気の早期発見がそうであるように、人間ドッグでの検査だけでなく、自分自身による日々のチェックが住まいを長持ちさせるためには必要である。ちょっと気になることを発見したら、身近な工務店に相談できる、そんな頼りになる工務店を持つことが、「200年住宅」への第一歩なのだ。果たしてそうした工務店が、今後もずっと生き残ってくれるかが心配である。
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by ju-takukoubou | 2009-04-08 14:48 | 業界コトバの散歩 
健康な住まいの科学
業界コトバの散歩⑨
健康な住まいの科学
岩下 繁昭

健康ブームの中で
 数年前までは、さまざまな健康法の紹介がテレビの人気番組になっていた。納豆が体にいいというと、1日4、5パックも食べるといった、健康番組フリークが紹介され、納豆健康法がブームとなる。
 いくら体にいいといってもモノには限度というものがあるはずだ。そこで科学的データが探し始められ、納豆には100gあたり234μgのセレンが含まれており、厚生労働省が定めた1日のセレンの摂取限界の基準値が250μgということから、納豆は1日2パック以内といったニュースが報道され、納豆健康法ブームも落ち着きを見せることになる。

バウビオロギーの考え方
 住宅に関しても、さまざまな健康法が世の中に飛び交っている。その中には科学的に根拠がなさそうなものも少なくない。とは言っても住まいがわれわれの健康に全く影響しないかというとそうではない。納豆におけるセレンの摂取限界の基準値のような、科学的な研究が、健康な住まいを実現するためには、必要である。
 日本では今のところそうした研究者は少ないが、ドイツではバウビオロギーと呼ばれ、健康な住まいの科学的な取り組みがなされている。
 バウビオロギー(Baubiologie)はドイツ語で建築生態学、建築生物学といった、Bau (建築、構成)、Bio(生物、生命体)、Logie(科学)から作られた造語で、その基本的な考え方は、建築をまずそこに住む人間を中心に考え、体の健康、心の安らぎ、その人の生き方を実現していこうというものである。
 エコロジーと違いを強いて言えば、人と建築との関係をバウビオロギー(Baubiologie)、建物と自然との関係をバウエコロギー(Bauecologie)として区別しているが、まずは建築といったミクロの世界での人と建築との生態学的なアプローチをし、つぎに建築を含めた土地や風土、気候など自然環境、地球環境との調和のとれたものにしてゆこうとするものである。
 ドイツのバウビオロギー専門家協会VDBでは、バウビオロギー学者、微生物学者、化学者、予防医学専門家、弁護士、建築家などの学際領域であるバウビオロギーのネットワークとなっている。

バウビオロギー25の基本ルール
 VDBでは、化学的な汚染物質や、かび菌など微生物、電磁波などに関して、データベースやセミナー、これらの科学的な測定や分析を行っている。
 また1983年に創設されたノイボイエルン・建築バイオロジー・エコロジー協会(Institut fur Baubiologie + Oekologie Neubeuern)は、次のようなバウビオロギーの25の基本ルールを掲げている。
1)自然および人工的な障害のない敷地
2)住宅は騒音や汚染源から離れている
3)緑地を持った低密度な住宅
4)個人が尊重され、自然な人間的な、居住者主体の住居
5)社会的な負荷のない建築
6)自然素材でまがい物でない建築材料
7)湿度調節できる材料を使用して室内空気質の自然な調節ができる
8)新築の際に急速に乾燥させ建築の総湿気量を減らす
9)断熱および蓄熱のバランスが良い
10)最適な室温および表面温度
11)自然換気による良好な室内空気
12)輻射熱を基本にした暖房システム
13)採光、照明および色が自然な状態である
14)太陽光など輻射熱の変化をできる限り少なくする
15)電磁波や電波の影響を受けない
16)放射線レベルが小さい建築材料の使用
17)騒音や振動から防護されている
18)有害物質の放散と臭いがない
19)カビ、細菌、塵およびすべてのアレルギー物質を可能な限り少なくする
20)最適な水質である飲料水
21)環境問題を引き起こさない
22)エネルギー消費を最小にし、再生可能なエネルギーをできるだけ使う
23)限られた資源を有効に使い、また地球温暖化ガスを削減するために、地域の建築材料を使う
24)家具やインテリアデザインに生理学およびエルゴノミックスの知識を活用する
25)調和のとれた形やプロポーション、寸法に配慮する。
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by ju-takukoubou | 2009-04-08 14:42 | 業界コトバの散歩 
LOHASって何?
業界コトバの散歩⑧
LOHASって何?
岩下 繁昭

もはや軽薄に聞こえるLOHAS
 最近なにかとLOHASとかスローライフなどといった言葉が使われることが多くなってきている。しかし何でこれがLOHAS商品なのかと説明を聞いても納得できない、奇をてらった便乗商品も登場してきている。さらに住宅の分野でもスローハウジング、健康住宅、○○健康住宅なども現れ、中には○○健康法のように、その効果は科学的には検証できないが、それでも信じる人が少なくないといった、如何わしいものも出てきている。
 しかし健康的で持続可能社会のための住まいは、これからの我々の暮らしを考えると、確実に求められてくるものであるし、すでに多くの工務店がそうした住まいづくりを行ってきている。
 また今までまったく関係ない住まいづくりを推奨してきた人が、あまりにもLOHAS、LOHASと言うので、LOHASなんて言葉を使うと、そうした人と同じように軽薄に見えそうで、LOHASという言葉は使いたくないといった工務店も少なくない。

LOHASとは、健康や環境を重視したライフスタイルのことだったはず
  LOHAS(Lifestyles of Health and Sustainability)は、健康を重視し、持続可能な社会生活を心がける生活スタイルで、LOHAS、ローハス、ロハスと呼ばれている。LOHASは、アメリカの社会学者ポール・レイとシェリー・アンダーソンの『カルチュラル・クリエイティブズ』"The Cultural Creatives: How 50 Million People Are Changing the World"(2000年)という本が始まりとされている。
 この本の中で、「1970年代から大量生産、大量消費で先進工業国は便利、豊かさを手に入れる一方、1990年代には深刻な環境汚染、地球温暖化によって国や大企業も深刻で複雑な環境問題に直面し、国際的に取り組みを始めた。また従来の産業構造にとらわれないクリエイティブな仕事や企業が台頭し、新しい価値観を持つ、例えば地球環境や人間関係、社会正義、自己啓発に深い関心を寄せる人々が出現してきた。このような状況を背景に、健康や環境を重視したライフスタイルを持つ新しい消費者層が生まれてきた。」としている。

マーケティングのツールとして使われているLOHAS
 日本には、消費生活アドバイザーである大和田順子氏が、2002年9月21日付日本経済新聞でレポートしたのがきっかけとされている。しかし本場のアメリカもそうであるが、日本でもLOHASは、マーケティングのツールとして使われている。ポール・レイとシェリー・アンダーソンの『カルチュラル・クリエイティブズ』からマーケティング・ビジネスとして都合が良いところだけを切り出してきたものであるとも言える。
 そうして生まれたLOHASなライフスタイルとして、『カルチュラル・クリエイティブズ』では、次の5つが挙げられている。
①環境にやさしいライフスタイルを心掛けている。
 家庭・オフィス用エコ製品、有機・再生繊維製品、環境にやさしい電気製品、エコツーリズムとエコトラベルなど。
②持続可能な経済の実現を願っている。
 環境にやさしい建材・工業製品、再生可能エネルギー、資源高効率の製品、社会的責任投資、代替輸送手段の活用、環境マネジメントなど。
③予防医学・代替医療を心掛け、なるべく薬に頼らない。
 健康増進法、鍼、ホメオパシー、自然療法など。
④ヘルシーな食品やナチュラルなパーソナルケア製品を愛用している。
 天然、有機、滋養製品、食品と飲料、栄養補助食品、天然パーソナルケア製品など。
⑤自己啓発のために投資する。
 心身と精神のための製品(CD、本、テープ、セミナー)、ヨガ、フィットネス、ウェイトロス、感性を高める製品やサービスなど。
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by ju-takukoubou | 2009-04-08 14:40 | 業界コトバの散歩 
監理と管理
業界コトバの散歩⑦
監理と管理
岩下 繁昭

監理と管理
 監理と管理、読み方はどちらも「カンリ」であるが、その意味するところは大きく違っている。そこで業界では、監理を「サラカン」、管理を「タケカン」と呼び、文字ではなく音でも聞き分けられるようにしている。
 工事監理は、①設計図書通りにつくられているかどうか、確認・検査をする、②設計内容で不明確な部分、不備や不足な部分を調整、修正することである。
 一方、工事管理は、時間(T)、品質(Q)、コスト(C)に関して計画し、確実に実行できるよう管理することである。①時間に関しては、工程表の作成、手配や連絡など段取り、遅延した場合の対策などが行われる。②品質に関しては、必要に応じて施工図の作成、搬入資材の養生指示、施工方法の具体的な指示、施工チェック、施工部分の養生指示などである。③コストに関しては、実行予算を組み、専門工事業者と費用の調整、工事費支払のための出来高査定、工事決算書の作成などがある。
 さらに工事関係車両の駐車や工事騒音など近隣トラブルへの対応、現場の安全衛生管理、工事現場への不審者の進入防止など防犯管理も工事管理者の業務となっている。
 戸建て木造住宅の現場では、工事管理(タケカン)は「現場監督」が行い、顧客満足度を高め、工事利益の確保につながるため重視されてきたが、工事監理(サラカン)に関してはほとんど行われてきていない。

耐震偽装事件以降、工事監理者の役割が重視される
 しかし建築士法では、建築物の安全性などの質の確保を図るために、原則として建築士が設計・工事監理を行わなければならないこととなっており、建築確認申請の際にも工事監理者を定め、届け出るようになっている。この原則に該当するものとして、戸建て木造住宅では延べ床面積100平米を超えるものとなっており、1級、2級、木造建築士のいずれかが行わなければならないとされている。
 また、耐震強度偽装事件の後に行われた一連の法改正や運用の適正化により、建築物の安全性等を確保するために工事監理の確実な実施が求められるようになってきた。中間検査や完了検査の申請の際には申請書の中に工事監理の状況の報告を、工事監理者が記載しなければならないこととなっている。
 工事管理を行う現場監督が、建築士の資格を持っていれば、工事監理者にすることはできるが、法律の趣旨からすると工事監理者は、施主から委任を受けた施主の代理人として、施主と施工者の間で中立的な立場で業務を行う必要がある。

工務店の現場担当者は工事監理者としての役割を
 工事管理の中で、時間(T)とコスト(C)の管理に関しては、携帯電話や携帯メールが普及した今、そう頻繁に現場に行かなくても、業務を遂行することができる。残りの一つである品質(Q)に関しての管理は、工事監理業務と重なっている。したがって工務店の現場担当者は、これからは工事管理者ではなく工事監理者としての役割を大いに果たすべきであると言える。
 こうしたこともあって、今年から現場担当者や基幹専門工である大工のほとんどに、木造建築士を受験させようとしている工務店もある。工事管理ならば特に資格の必要がないし、建築施工管理技士の資格があれば十分であるが、工事監理となると建築士の資格が必要である。
 しかも一級建築士、二級建築士の資格を持っていても、木造に関しての知識が十分であるとは限らない。木造住宅の設計、工事監理に関しては、木造建築士の方が頼りになる。そのため社員に一斉に木造建築士の受験をさせる、先の工務店では、すでに一級建築士を取得している者にも、木造建築士を受験するようにと言っているという。
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by ju-takukoubou | 2009-04-08 14:36 | 業界コトバの散歩