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カテゴリ:住まいづくりをチェック( 4 )
【連載】プロ目線で住まいづくりをチェックする
ARU田口設計工房 田口 隆一

Topics#2  社内検査の落とし穴


現場監督と検査
f0204815_16182697.jpg現場において純粋に「検査」として図面や施工仕様との突合せを行うことで、竣工時あるいは竣工後のクレームは激減する!はずです。
検査担当者は現場監督とは別にいることが望ましいと考えています。
その理由は、現場監督は、最初からその現場を見ているため、職人に対し施工方法や修正方法について協議し、指示をしてあるという記憶が残っているため、実際に施工されていなくても、「(きちんと指示をしたのだから)できているはず」という思い込みをしやすい傾向にあります。

「思いこみ」という落とし穴
私が工事監理を行った現場であったある受け答えを見てみましょう。

養生期間中に現場の近くをたまたま通りかかったので、立ち寄ってみたときのことです。ある部分が正しい方法で施工がなされていない状況だったため、現場監督に、
「ちゃんと施工仕様の通りに施工されていますか?」
と連絡してみると、
「仕様通りにやってあります。」
と答えます。
「仕様通りの施工であることを確認していますか?」
と聞くと、
「そのように指示をしてあるのでやってあるはずです。」
と変わりました。

このやり取りはちょっと意地悪な感じですが、この「はず」ですと言うところに思い込みが生まれています。
自身で確認したわけではないので、「職人がやってあるはず」という信頼感が、「やってある」という、自分の意識にすり替わってしまっているのです。この感覚になってしまうと、どう見ても問題がある状態を目の前にしていても、疑問を感じなくなってしまうことがあります。こうなると検査に必要な観察眼に濃いサングラスをかけた状態になり、明らかなミスですら見分けられなくなるということが起こります。
その結果、見落とした部分に不具合の症状があらわれても、正しく施工ができているはず、と思い込んでいるため、その部位は疑いの対象から外されてしまい、原因の推測が難しくなることが考えられます。また、見落としが1か所であればその部分の対処で対応が終わると考えられますが、同様の施工が行われる部位については、同様の施工ミスが発生している可能性が高く、数か所に症状が現れてしまうと、症状の出ている箇所だけでなく、すべての施工に疑問を持たれてしまう可能性があるというリスクが発生します。

ミスを減らすためには
もちろん多くの場合、施工者が指示を把握し、問題なく施工がなされることが通常ですが、普段使わない材料などの場合、施工方法やポイントを把握しきれず、指示も曲解したまま施工を行ってしまうことがあります。現場監督も常に現場を見ていられるわけではありませんので、指示を行ったことによって、正しく施工できたものと考えてしまいがちです。特殊な材料や納まりの場合は、特に注意が必要で、自身で確認するという意識が必要です。
この思い込みを切り離すために、現場監督が「検査」という意識が持てる状況を造るか、直接の担当でない現場責任者や別の現場監督がチェックシートに基づいて項目通りに検査をするという方法が、より安全なチェックになると考えています。

上記のような問いかけがあった場合、設計事務所の担当としては、ミス(と思った)ことを発見し、現場監督が、その認識をしているか確認しようという意図と思われますので、「やってあります。」という断言は、現場監督が現場を把握できていないという不安感を監理者に与えます。自身で正しい施工を確認している場合には、逆に正当性を主張する必要がありますが、確認していない場合は、監理者が何を見つけたのか、どういった補修方法が効率的かつ妥当なのかといったことを問い合わせ、ミスを減らしていくことが重要です。




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by ju-takukoubou | 2011-11-11 13:57 | 住まいづくりをチェック
【連載】プロ目線で住まいづくりをチェックする
ARU田口設計工房 田口 隆一

Topics#1  現場監督が行う検査


現場の品質管理として
 現場監督が行う検査は、現場管理の一環として、管理の途中で正しい施工がなされているか、という確認の意味で行います。これが現場の品質管理に当たります。現場の進行管理ばかりでは、施工管理を委託した施主からの期待に応えることになりません。
f0204815_10461640.jpg 施工に起因するミスをできるだけ少なくすることで、施主の不安が減り、引き渡し後の補修やクレームも減らすことができます。施工だけでなく様々な対応を行わなければいけないので、施工だけで完全な信頼を得ることができるとは言い切れませんが、施工ミスによる本来必要のない補修が発生しないことにより、施工上の信頼を得ることができると考えます。
施工は、様々な人間が様々な状況他タイミングで行っていくもののため、全くミスがないということは難しいと考えています。とはいえ、施工者の癖などによりミスの傾向が表れてくることが容易に推測されますので、施工ミスを減らしていくための一つの方法として、これまで発生したミスについてその問題点を把握し、どの段階でどのように修正や補修をしていくかといったことを加味して検査を行えるとよりよくなります。

検査実施のポイント
 検査は、検査の時点で関連する施工業者が立ち会うとベストです。検査のためだけの立ち合いが無理な場合でも、検査部分以外の作業をして現場にいるといったタイミングが設定できるとよいと思います。その場にいれば、問題点を提示し、修正がなされるように指示を行い、簡易なものであれば修正してしまうことで、施主に対しての報告の形態として、指摘個所があったもののその場で修正が行われ、修正状態も確認したという、完結した状態で行うことが可能となります。後日工事の場合、その修正状態の報告を施工業者より入手しまとめる必要があり、手間がかかること、写真の撮り忘れなどが起きると信頼性が下がるといったことが考えられます。
また、その場で指示・修正が行われることは、施工者に正しい施工方法や施工状態を伝えられるため、現場品質の向上が望めます。

指摘・修正情報は社内でシェアする
施主向けの報告の一方で、指摘・修正等を行った部分については、社内向けの写真ホルダに蓄積し、施工会議の際にその写真を工務全員で閲覧・確認し、ミスの状況と修正指示の内容を開示しあう必要があります。開示することによって、修正指示のミスが見つかることがあるかもしれません。そうした誤解を一つずつ解決して、正しい施工の状態を全員が把握し、各職に指示できるようになることで、全社的にミスの少ない高いレベルで均一化された現場の達成が可能となります。



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by ju-takukoubou | 2011-10-17 10:52 | 住まいづくりをチェック
【連載】プロ目線で住まいづくりをチェックする
2.検査のポイント

ARU田口設計工房 田口 隆一


 それでは、ここから具体的な検査のポイントを挙げていきましょう。
 品質を向上するという観点から、第3者検査の考え方をベースにしています。

①建物位置
・確認方法
建物の配置は、基本的に施工者によって、配置図に合わせて計測、設定されているはずですが、特に隣家との離隔距離が小さい個所の配置を確認します。スケールを使用して遣り方(※3)に表示された通り芯と境界線の距離を確認します。
ミリ単位までは確認できませんが、大きなミスは防げます。

・ミスがあると
配置がずれてしまうと、隣地まで余裕のある側であれば、多少のずれは吸収される可能性が高いのですが、ぎりぎりの場合には、建築基準法の集団規定(※4)に抵触する可能性があり、是正勧告などを受ける可能性があります。

f0204815_1074225.jpg

・説明方法 特になし

※3 遣り方とは、地面の掘削に先立って、建物が建つ予定の周囲を杭と貫板(細長い薄い板)で囲い、水平と通り芯などを出すための仮設物で、写真に見える
f0204815_10124257.gifの印がついた垂直線が、建物の壁の中心線を表しています。

※4 集団規定とは、地域ごとに規定されているもので、容積率や建ぺい率、建物の高さなどの制限があります。これは、地域で決められた範囲で建物を建てることを定めたものです。建築に関係している人であれば、外観を見ただけで違反か否かわかりますので、注意が必要です。


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by ju-takukoubou | 2011-08-31 10:13 | 住まいづくりをチェック
【新連載】プロ目線で住まいづくりをチェックする
1.現場検査の概要

ARU田口設計工房 田口 隆一


現場検査のポイントは、その検査の性格によって視点が若干異なります。ここで紹介する検査のポイントは、木造住宅に関連する第3者検査に該当するものを対象としますが、実際の現場検査にはどんなものがあるか、まずは再確認しておきたいと思います。

①建築基準法上の検査
この検査は、役所や確認検査機関が建築基準法で定められた検査を行うもので、工事中あるいは完成した建物が建築基準法を順守して建てられているかという点に絞って、検査されます。
逆の見方をすると、検査を必要としないあるいは緩和規定により審査が省略されている事項については、検査を行わないということです。
つまり、建築基準法や関係法令に規定されていない部分については、一切触れられない検査で、具体的な例を挙げると、仕上がり具合や断熱性能など、生活上問題が起きる可能性がある部分であっても対象にはなっていないということです。

検査は、中間検査と完了検査の2種類が規定されています。

・完了検査
全ての建物で必要とされる検査です。
これは、建物の工事が完了した段階で申請する必要のある検査で、工事完了届を提出した確認検査機関や役所の検査官による検査です。
この検査は建物が完成した時点で現行の建築基準法に合致しているかどうかを調べるためのものです。合格すると「検査済証」が発行されます。
この「検査済証」があることで法に合致していることの証明となり、増改築を行う際に母屋の法遵守性を審査する必要がなくなるため、確認申請が必要な場合の手続きが非常に簡略化できるというメリットがあります。また、建物が違法建築でないことが証明されていますので売買の際などにも有利に働くと考えられます。

・中間検査
これは建物の規模によって検査の要不要が定められています。
木造住宅では、3階建てとした場合に、上棟後のタイミングが特定工程(検査が必要な工程)とされ、構造躯体の施工状態について検査が行われます。
一般に4号建築物(※1)といわれる2階建ての小規模木造建築物の場合で、基準法上の中間検査はありません。

※1 建築基準法第6条第1項4号に規定される建物を4号建築物といい、木造2階建て500㎡未満、最高高13m未満、軒高9m未満の建物がそれに当たり、建築確認申請において、建築士の設計による場合は、構造関係規定等の審査が省略(設計・検査とも)される規模の建物。

②瑕疵(※2)保険の検査
 年間1000棟程度の着工戸数がある住宅メーカーなどは、供託金という制度を用いているため、瑕疵保険の関連する検査はありません。
一般の工務店であれば、そこまでの着工棟数を確保できませんので、住宅ごとに瑕疵保険を付保するということになります。
この保険は、2000年に「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(以下品確法)で定められた、売主や請負人に10年間の瑕疵担保責任を負わせるという規定があったものの、構造計算書偽装事件の際に、請負者が倒産したことによってその義務がまっとうされなかったことから、全ての新築住宅に保険をかけるという仕組みとして定められたものです。
この検査は、保険を掛けるに値する、保険法人が提示する設計施工指針に沿った施工がなされているか、瑕疵の起きない工事がなされているか、という点を主眼に置いた検査です。保険法人の検査員や保険法人に認められた検査員が、基礎配筋の完了時と上棟後の屋根葺完了時の2回検査を行います。
建築基準法上の検査と同じく性能的な点に関しては、チェックされないものです。

この保険は、新築だけでなくリフォームに対しても任意で付保が可能となっており、リフォーム瑕疵保険をかけようとする場合、保険法人の検査員による検査があります。
リフォーム工事範囲が対象です。検査の回数は、基礎工事を含む増築の場合、増築部分の基礎配筋完了時、耐震性に関する補強部分や雨水の侵入防止に関する工事完了時、完成時の3回となっています。基礎の工事がない場合は、2回となり、耐震性や防水にかかわる工事がない場合は完成時の1回となります。

また、住宅の売買に当たって、瑕疵保険を掛ける仕組みも整備されており、付保には、保険法人に登録した検査会社の検査を受けることになります。
これは、売買対象の中古住宅に瑕疵があるかないかの検査となります。

※2 ここでいう瑕疵とは、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(品確法)第94条で定められた、構造耐力上主要な部分又は、雨水の侵入を防止する部分の瑕疵を対象としています。

③住宅金融支援機構の住宅ローンに係る検査
「フラット35又はフラット35S」の融資にあたって、融資に値する建物が建てられているかという検査で、融資の条件としても提示されている「木造住宅工事仕様書」に設定された必須仕様などが守られているかというチェックを主としています。
 この検査は、通常図面の審査が建築確認申請と同時に行われるため、審査を行った役所や確認検査機関が検査を行うことが多く、上棟後に中間検査が行われます。

④住宅性能表示制度の検査
 建物の性能を明示する仕組みの任意の制度で、性能評価機関が申請された設計図書により内容を審査し、建設段階で4回の検査が行われます。設定された性能が確保された施工となっているかを検査し確認します。これは性能にかかわる部分の検査が行われます。
第1回 基礎配筋工事完了時
第2回 躯体工事の完了時
第3回 下地張りの直前の工事の完了時
第4回 竣工時

⑤社内検査
工務店等の社内で内々に行われる検査です。担当者以外の多くの目で現場を見ることで、工事のミスを減らすことに役立つため、実施されるに越したことはないのですが、残念ながら社内検査がない工務店もあります。
検査を行っている工務店でも、タイミングの設定はまちまちで、建て主の目に触れ、施主検査で指摘を受けると修正を行わないといけないことから、事前に社内で完成時の検査を行っているところは多いと思います。
完成時には見えなくなってしまう、施工中の検査を行っているところは、あまり多くないように見受けられます。保険の検査を受けているので十分といった考えのところもあるようですが、保険の検査対象外の部分にも責任が生じる工務店としては不足と思われます。

⑥第3者検査
建て主自らが第3者に依頼して、建物が図面・各種仕様書・基準法通りに建てられているか確認するための検査で、法遵守性や性能、仕上がりについて建て主の側に立って行われる検査といえます。
 この検査は、問題の少ない建物が引き渡されるように検査を行うということから、工務店のリスク管理のための検査としても有効だと考えます。よって、工務店でも同様の検査が行えるとより良いと考えています。

次回からは、具体的な検査のポイントを挙げていきます。


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by ju-takukoubou | 2011-07-26 11:39 | 住まいづくりをチェック