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住宅道具・考31
「道具だて」の設計術 その1 
床は道具である

山口 昌伴

ちょっと昔の和の住まい―その設計術:決め手は「道具だて」だった。
 和の住まい?
 それは日本人の身に合う暮らしの場づくりをいう。近代日本の住宅は西欧の住居をモデルとして、この100年、いや150年がかりで洋風化にいそしんできた。
 その結果は縁側もなく床の間もおろそかな、壁で囲んで蓋をつける高気密・高断熱―といえば高品質のように聞こえるが、和人・純日本人にとっては「風通しのわるい」、なんとのう(なんとなく)よそよそしくて気触のわるい閉鎖型住居になってしまった。
 もう21世紀に入って10年近い。もはや西欧化でもないだろう。西欧というのは北緯50゜近辺の北国である。ロンドンとパリの間を通ってる北緯50゜線を日本まで引いてくると札幌あたりを通る? 地球儀を見てごらん、サハリン(樺太)の、あの南北に長~い島のまん中へんを通ってる。

21世紀型日本の住まい設計術
 そんな北の国の、長~い冬にちぢこまって暮らす西欧住宅を温帯日本の住居モデルにするなんて、大きな間違いである。
 この150年がかりの大間違いを、反省して、湿潤な温帯に合った「風通しのいい」開放的な、四季の巡る日本の環境に合った、21世紀日本型住まいに設計変更をしようじゃないか。というのがここでの「私の提案」である。で、その和風の住まいの設計術とは「道具だて」が決め手になっている。そこから本当の、私たち日本人に居心地のいい暮らしの場所を設計しなおしていこう。
 これが本ブログの「住宅道具・考」の狙いなのだが、筆の勢いで「床」の話ばっかり続けてきた。そのうち「床を掘る」の珍テーマにとりつかれて連載10回も深掘りしてしまった。床を掘りさげる話が済んだからには「床を上げる」に移るのが順序だろうが、床も道具であるから「道具だて」をタイトルに挙げて話を進めよう。
 なんで床が道具なの?―西欧では床は道具ではない。泰然自若として揺るがない大地の如き平面である、が、日本では床はいろんな使い方をする道具的存在であること、「床を掘る」の10話を思い出していただければ納得されよう。
 日本では、土坐から高床の上まで床坐式の起居様式で暮らしてきたが、その床は切ったりつなげたり、重ねたりできる道具性が強い。端的な例が縁側という張り出し床。
 これを切り離して可動にした「縁台」を思い起こしていただければ、日本では床は道具だと納得いただけるであろう。そして縁側から上った奥にあるお座敷のたたみもまた、本来は道具だったのである。
 次回にそのことをお話しする。

道具学会 
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by ju-takukoubou | 2009-04-10 10:30 | 住宅道具・考 
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