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住宅道具・考25
床を掘る その5 Hory gotatu PART2
山口 昌伴

「こたつ」は「する」ものだった
 秋深い上越新幹線で新潟へ向かう車中、前方の席から話し声が聞こえてきた。「さぶうなったなぁ」「もう、さぶい」雪国のおばさんたちの話は続く。「こたつ、したか」「まだこたつしとらん」こたつは「する」もんだったのか。
 新潟県は村上市の民俗学の先生にお願いして、民家で「まだこたつしとらん家」を探して貰い、こたつするところを見せていただいた。
 板の間の居間のまん中の床板に切り目があって、幅8寸(24cm)の板が5枚外せるようになっていた。そのまん中に爪掛りが彫ってあり、板は難なく揚げられた。床下には足を置く踏板がまわしてあり、腰掛けたときの尻下の方に尺2寸(36cm)ほど余裕をとって縁の下空間との仕切板が立ててあった。掘炬燵の床下空間が広々ととってあるのだ。
 板を納戸に搬んだ戻りに炬燵櫓が搬ばれてきて、床に置いてずらすと、受けの大引(太めの角材)がまわしてあって、櫓の下端にまわしてある台座がガタンとはまって、ビクとも動かなくなった。これで蒲団を掛ければ、なんのことはない、できあがり。新潟一帯ではみなこんなふうにしている、という。

商品名Holy ecotatuとして海外輸出を
 私が印象深かったのは、まず第一に冬が近づくと「こたつする」こと、つまり暖かくなると「こたつはずす」ことであった。東京などでは掘炬燵のある家では寒くなると蒲団を掛けて火を入れ、暖かくなると蒲団を外すだけで櫓はそのままで食事の台に使いつづける。寒い地域の方がかえって「こたつする」「しない」のけじめをつけているところが私には面白かった。
 それともうひとつ印象深かったのは、掘炬燵の中が、煮物鍋の保温や甘酒の醸造(といっても、ただ仕込んで綿入れに包んで保温しておくだけ)などに活用する「生活空間の一部」になっていることだった。縁の下の冷気をよく遮断すれば掘炬燵空間はかなり大きな温暖空間であり、ことに極寒地ではいろいろの活用が考えられる拡張空間である。
 ネパールの民族学者V博士は日本で体験した「腰掛け式包み込み煖炉」を西欧人も楽ちんだから国際性があると絶賛した(前回参照)が、日本よりずっと寒冷の地である西欧・北欧で、掘炬燵がなぜ思いつかれなかったのか、そのほうが不思議である。
 V博士のやっと発音したホリゴタツの片カナ外来語的発音から日本の友たちがHoly gotatuなる呼称を発案したのだが(前回)、これに省エネ―エコノミーにしてエコロジーな、ecoのエをつけて、商品名Holy ecotatuとしたら、海外輸出にはずみがつくのではないか。


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by ju-takukoubou | 2009-04-09 16:03 | 住宅道具・考 
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