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住宅道具・考24
床を掘る その4 ネパールの掘炬燵
山口 昌伴

びっくり仰天
 ヒマラヤの高嶺からインドの大平原にくだる斜面の国・ネパールでびっくりした話。
 首都カトマンドゥ周域に住むネワール族は床坐の民(たみ)。多層の階上でも土を均した土間に茣蓙を敷いて坐って暮らす。伝統的な住まいはどれも同じなので、モダンな暮らしを始めている上流貴族の家を訪ねてみることに。幸いネパール王国の文化大臣も務めたというネパールきっての文化人類学者・V博士の邸宅を紹介された。
 外国からの訪問客も多いので客間などはネパール風を活かした洋風で、居心地がよかった。応接スペースはともかく日常ふだんの生活の場はどうかと台所に踏み込んで、私はびっくり仰天、呆然とした。
 流しや調理台などが土間に立位で働く洋風のキッチンになっているのにはさして驚かなかったのだが、土間の半分が高床の板の間になっている。その板の間の一部をコの字に切りさげて、土間より一寸高い足置きの簀子を敷き、高床を切り下げた四隅に脚を立てて、これを支えに高床上から30cmあがりに甲板を置いている。

V博士、ニヤッと笑う
 なんだナンダこれは!
 日本の掘炬燵とそっくりじゃないか(前回「岩手の掘囲炉裏」参照)。私はそれに出くわしたとたん、私の脳裡に出来ていた地球上の住居の床の形態の分布地図が皺苦茶になったような気がした。
 私はV博士にネパール住居の土座と高床坐のヴァリエーションや分布について、是非もう少しデータが欲しい、と詰め寄った。私の民族住居地図では、ここに掘炬燵が存在していては「困る」のであった。
 V博士、ニヤッと笑うではないか。
 じつは―何週間も日本に滞在したことがある、その時泊めていただいたお宅の居間の中心だったのがこのHori gotatuだったんですよ。私たちは韓国人と同じ立て膝かしゃがみの姿勢で尻を突くか、あぐらですから、日本人の坐り方が辛い。そんな私にも腰掛け式のHoli gotatuはたいへん楽なんです。椅子座式の西欧人にもラク。これはたいへん国際性がある。Holi gotatuを私が発音すると、日本人にはHolyと聴こえるんだそうで、それならHoly gotatuと名づけたら、世界にどっと広がるぞ、と大笑いしたものです。


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by ju-takukoubou | 2009-04-09 16:00 | 住宅道具・考 
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