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住宅道具・考22
床を掘る その2 掘囲炉裏
山口 昌伴

雪国秋田の村里(むらざと)を歩いていたら、豪壮な茅葺きの民家があった。お屋敷拝見を頼みこむと、快く大戸を引きあけてくれた。
 入ったところは広い土間で、間口4間(7.2m)、奥行8間(14.4m)、雪にとじこめられる長い冬の間、秋の穫り入れの始末から春に始まる野良仕事の準備まで、屋内で仕事をするので土間が広くとってある。脱穀機から臼杵までさまざまな道具が置かれていて、高床への上り框(かまち)までは遠い。その途中の土間に広い囲炉裏が切ってあった。

掘炬燵ならぬ掘囲炉裏
 囲炉裏を切る、といっても高床の板の間ではなく土間に設けるのだから、土間を掘り下げて土を搬び出し、底を平均してその真ん中に自在鈎を吊るす。掘り下げた土間面のきわに茣蓙を敷き廻せば、 一辺9尺(2.7m)なら一辺に3~4人並ぶ。四辺で十数名の大囲炉裏。
 土間の上はベンチなどちゃんとした家具を十余人分並べたら大変な費用になるが、土間を掘って茣蓙を並べるだけなら只(ただ)同然。じつにうまいアイデアだ、と私は感心してしまう。

冬の夜ながをワイガヤと―
 じつはこの多勢すわれる大掘囲炉裏、雪にとじこめられた村の老若男女の夜なべの仕事場。1年分の皆の藁草履や牛馬の藁沓(くつ)、手甲脚絆(きゃはん)や背負子(しょいこ)の負い紐を冬の間に作っておく。皆でやれば刻を忘れて根気が続く。手はふさがっていても口は空(あ)いている。ワイワイガヤガヤと話が弾(はず)めば歌も出る。若衆のあいだには恋も芽生えるっちゅうもんだべね。
 いまどきの住居は都会・郊外・農山村、みな少人数家族に分かれて住み、孤立化し、あまつさえ家庭崩壊しつつある。近隣コミュニティに皆が勝手に集まれる場所があれば新たな絆(きずな)も生まれよう。公民館共同利用施設なんてものでは気勢があがらない。自分の住まいを開放したらどうか。高床でも床を切り下げたら、費用は只同然でワイガヤ楽しい空間ができる。真ん中に薪ストーブなんか据えたら、ストーブのほうも孤独から救われよう。

道具学会  

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by ju-takukoubou | 2009-04-09 15:58 | 住宅道具・考 
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