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住宅道具・考⑲
世界一周畳の旅 その14 
雲南竹楼の尻突き椅子 PART2

山口 昌伴

腰かけるよう尻を突く
 雲南民居の籐製円(まる)チャブのまわりに大型トルコ帽状の物体を発見した私、何だナンダと正体を突きとめかねているところへ、若い女性がやってきた。中国語でいえばジュジェ、韓国語でアガシ、アジアの若い女性はみんなかっちりした細身のいいスタイル。肌が綺麗なので色黒が健康美に輝く。その優艶美女がその大型トルコ帽のような未確認物体にドカッと尻餅でも突くようにお尻を突いた。上面直径8寸(24cm)、床面9寸(27cm)、高さ6寸(18cm)ほどの円錐台形の物体は低い小椅子だった。家具用語的には座具であり、椅子にはちがいないが、座面高40cm以上の西洋椅子とは区別したい。本稿第16回ではパキスタンの低椅子を平椅子と名付けて、西欧の椅子を高椅子と呼びわけたが、このトルコ帽タイプは坐面が平椅子のそれよりぐっと狭くて平面性がないので、平椅子とは別種としたい。細身の身軽な体駆に似合わぬドカッと尻餅突くが如き意外性も含めて、これを私は「尻突き椅子」と名付けた。

パキスタンの平椅子
 パキスタンの平椅子は、日本の座布団に脚が生えたようなものだと云ったが、日本の床坐ぐらしの畳の上の座具、座布団は雲南竹たたみ上の坐具、この尻突き椅子と対比される。
 座布団の本体は、家具としての坐具ではなく、むしろ床の敷物の小型化―1人用敷物の発展型と見るべきであろう。座布団を用いても床座の姿勢=体位は変わらない。これに対して尻突き椅子は床に坐るのとはまったく違う体位を支える家具としての坐具である。尻突き椅子は、しゃがむ姿勢のときのお尻を支えて、しゃがむ体位=姿勢を楽に続けられるようにしている。
 しゃがみの姿勢は、見た目には優雅さには欠ける。尻が低くなるので、膝は上向く。お尻を支えると、上身はぐらつくので、3点支持して上体を安定させるために足と足の間をあける。膝を高くして脚を開く形になる。特に座卓に手が届くように近くにしゃがむと脚を開く必要がある。見た目はエレガントでないし、よそからの視線もアブナイ。けれども楽はラクである。

西欧高椅子の欠点
 床面に坐ると、脚が痺れやすい。胡座(こざ・あぐら)をかくと痺(しび)れにくいが、しゃがむ尻を支える方がラクである。床坐でもしゃがみでも、立つ用はひんぱんに起きる。床から立ち上がるのも訓練次第だが、しゃがみから立つ方がよっぽどラクである。西洋高椅子は、それはそれで体位はラクだし、歩行の体位に転ずるのは楽である。しかし、床面には手がとどかないので、広い床面が作業台に使えず、限られた机上面でいろんなことをすることになる。これが椅子座―西欧高椅子式起居様式の欠点である。
 日本の近代は、床に坐るのと、西洋高椅子に腰かけるのとの二者択一を迫られて、西欧高椅子の方に降伏しつつあるが、その中間にも選択肢があっていい筈であるとはつねづね思っている。それがしゃがみを支える「尻突き椅子」だったのかァと私は気がついた。日本にも実は「尻突き椅子」はあった。次回紹介する。


道具学会 
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by ju-takukoubou | 2009-04-09 15:54 | 住宅道具・考 
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