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住宅道具・考⑰
世界一周畳の旅 その12 
北ラオス山中の夏座敷

山口 昌伴

◆竹づくめの民家・竹楼
 中国西南端、雲南省から北ラオスの一帯は稲作文化の源流とされているが、竹を徹底的に活用する竹活用文化の源流でもある。もっとも竹はイネ科の木本(もくほん――草本・そうほんに対する)の植物だから稲と竹を合わせてイネ科文化複合(コムプレックス)と言ったらいい。
 道具学会ではこの一帯を日本文化の源流地帯とみて、近代西欧技術文明以前のものづくり技術システム(以下、原(げん)技術と略す)の姿を求めて、最近は北ラオス山中の集落を訪ね歩いている。
 原技術踏査の指標は藍染めと竹紙(若竹のセルロースを用いる漉き紙)が中心だが、私は雲南から続く山中の民家・竹楼が気にいっている。竹楼とは総桧(ひのき)ならぬ総竹造りの楼閣、ほどの意。ラオス山中の竹楼は柱・梁などの軸組みは木造だが、床・壁・天井(小屋裏)はすべて竹、それに屋根を葺く草はイネ科である。
 竹楼は地上階(グランド・フロアー)は柱だけの吹き抜けピロティ、その上階(ファースト・フロアー)が居室になっている高床住居。

◆竹をたたんだひしぎ竹
 その2階床は大部分が拉(ひし)ぎ竹。拉ぎ竹というのは丸竹に大きく割りを入れ、竹筒の表面にたくさん鉈目を入れて、割りを広げ、圧力を加えて平らに延ばす。圧(お)し付けて潰すのを「拉(ひし)ぐ」と言う。いわば竹を「延し烏賊(のしいか)」状にする。直径3寸(9cm)の丸竹を拉ぐと、2πrで28cm余となる。びっしりと割れの入ったスケスケの延し烏賊、いや、延し竹になる。延し拉ぐことを「たたむ」とも言う。
 この延し竹、ひしぎ竹は「たたみ竹」と言うこともできる。これを真竹を根太にして床に敷き詰めると「ひしぎ竹」。「たたみ竹」あるいは「竹たたみ(竹をたたんだもの)」フローリングになる。これは藺草の畳表(たたみおもて)より隙きが多く、光も風も通し、こまかい埃はちょっと拭えばみな床下に散り去ってしまうので掃き掃除に塵取り(ちりとり)がいらない。竹皮の表面は角皮素(クチン)を主成分とするクチクラ(cuticula ラテン語)質で硬質合成樹脂をラミネートしたといってよいツルピカ仕上げ。固く絞った雑巾で拭きあげれば藺草表より冷たく涼しい。
 そういえば日本でも冬座敷を夏座敷に仕替える時に藺草の畳表の上に竹皮を編んだ「網代(あじろ)」と呼ぶ敷物を敷いた。なんだ亜熱帯のラオスだから年中夏座敷でいいんだぁ。たたみ竹の夏座敷、畳の世界はそんなふうに北ラオス山中の坐る文化との連携が見出せるのであった。


道具学会 
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by ju-takukoubou | 2009-04-09 15:52 | 住宅道具・考 
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