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住宅道具・考⑯
世界一周畳の旅 その11 
パキスタンの平椅子

山口 昌伴

道具学会比較道具文化探検の予備踏査でインド北辺のパキスタンを徘徊していた時のことである。

◆坐蒲団に脚が生えてる
 ちょっとした広場の片隅で焜炉ひとつで揚げものを食べさせる露店があった。焜炉のまわりに坐蒲団のようなものが点々と低い空中に浮いているような寸景を目にした。なんだナンダと近寄って眺めると、尺2寸(36cm)四方ほどの四角い木枠に麻紐を碁盤目に編んで張ってある。その木枠の四隅に坐面から7寸(21cm)ほどの脚が出て坐面を地面から浮かせている。背もたれは無いので、坐蒲団が浮いてるように見えたのだ。
 坐蒲団に脚が生えてる、というのが最初の印象だった。こりゃあラクちんだ。地べたにしゃがむお尻をちょっと支えてくれる。この椅子は西欧の坐面40cm以上の椅子とは類型として異種である。そこで私は、これまでただ「椅子」と呼んで済ませていた西欧の椅子を「高椅子」と呼び、パキスタンの「坐蒲団に脚の生えた」ような坐面の低くて広さは一応あるのを「平(ひら)椅子」と呼び分けることにした。

◆もうひとつの坐る文化・たたみ表(おもて)椅子
 藁などを並べ重ねることを「たたむ」という。藁をたたんで厚い藁床(わらどこ)をつくるのが畳の語源である。日本の昔の畳は貴人の座所に厚さ(坐面の高さ)を競ったので1枚の厚さ7cmほどの畳を3枚、5枚と重ねた。桃の節句に飾る雛壇は、平安時代の宮殿をモデルにしている。そこで最上段の内裏さまの座っておられる分厚い置き敷き畳の厚さを測ってみた。そしてお雛さまの座高と比例計算したら厚さ45cmあった。お祭りディスプレーだから多少は誇張があると見てよい、とすれば和畳3枚重ねの21cmでパキスタンの平椅子の坐面高に近いものになる。
 麻紐を編んだ坐面は、まあ藺草を編んだ畳表の仲間の一種である。そう見れば、パキスタンでは日本の重ねがさね厚畳の坐面だけを空中に浮かして尻をのせている格好である。いわば平安時代の公家のお内裏さまが厚い置き敷き畳の端に足を出して座ってる恰好である。
 日本の伝統(だった)敷き詰め畳以前の敷き方、置き敷き厚畳の坐る文化はこうしてパキスタンの平椅子に「そこはかとなく」つながっているように見えてきた。
―もしもしお内裏さま、7寸(21cm)の坐面の端に足を床につけて坐ったら坐面より膝が上がる「しゃがみ」姿勢になるので、ちょっとしどけないですね、お雛さまとしてはお行儀がわるく見えますよ。でも楽はラクですよねぇ。
 日本でもこれ常用してみたらどうですか。


道具学会 

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by ju-takukoubou | 2009-04-09 15:50 | 住宅道具・考 
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