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住宅道具・考⑪
世界一周畳の旅 その8 
エチオピアのマットレス-たためん畳

山口 昌伴

◆アラブ世界に共通する使いぶり
 道具学会エチオピア探検(予備踏査)で、ことのほか感動を覚えたので「エチオピアのマットレス」と標題に掲げたが、じつは床坐暮らしのマットレス状坐臥具の使いぶりは、インドからモロッコまで、アラブ世界に共通する。
 エチオピアの首都はアジスアベバだが、地方都市のひとつ、城壁に囲まれた古都ハラルという町を訪ねて、アラブ系住民の住居に入り込むことができた。
 メディナ(旧市街)は、迷路のように路地の両側に住居の外周壁が巡っていて、各家への出入口の厳重な門扉がある。そこを入ると中庭で、周囲を囲むように居室があって、それぞれ出入口扉を、日中は開いたままにしている。中庭から居室に入ったところは土間で、中庭より5cmほど高くしてある。いわば犬走り高さが屋内土間の高さなのである―雨水などの水捌(は)けへの配慮である。
 居室への入口土間は、居室が3間(6m)とすれば、1.5~2mほどの幅で居室の幅一杯まで土間。その先には日本の高床への上り框(かまち)のような段差があって、土造りの高床になっており、カーペットが敷いてあったり、無かったり。入口土間で履物を脱いで、高めの土間は裸足で歩く。居室の突き当たりや両側の壁ぎわに3尺(90cm)ほどの幅で厚さ1尺(30cm)ほどの、厚床(どこ)の幅2尺(60cm)ユニットを詰めて並べている。そして硬めの座蒲団のような背もたれが、これは各席ごとに後ろの壁に立てかけてある。

◆ソファーとマットレス
 厚床ユニットは、厚さ1尺(30cm)弱で、日本でも普及しているベッド用のマットレスより厚く、西欧家具のソファーほどの厚さはない。日本には畳の上に置く背もたれだけの座椅子というものがあるが、アラブの壁ぎわ坐臥具はその座椅子の坐面をマットレスより厚くしたものを想像していただければよい。
 超低ベンチを壁ぎわに廻して、背もたれをバラして置いてある、と見てもよい。特厚畳床(どこ)のようなものだから腰かけて脚を投げ出すもよし、上りこんで胡坐(あぐら)をかいてもよし、ごろっと寝てもよし。たいへん楽ちんな、日本の床坐式と西欧の椅子座式の起居様式の両方を取り入れたような起居様式の坐臥具である。
 これに床面からひとつづきの絨毯を被(かぶ)せるやり方はエジプトはカイロのアラブ系住居で実見している。
 日本でも第二次大戦後、リビングルームや応接間に必ず置いたソファーや、床に寝転ぶときに敷くようになったマットレスは、西欧家具だから取り入れたものだが、じつはアラブ文化の特厚坐臥具を、西欧がソファーとマットレスの二つに分けて取り込んだものだったのではないか。
 アラブ文化圏を旅していると、そんな坐臥具の歴史の見直しを迫られるのである。


道具学会 
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by ju-takukoubou | 2009-04-09 15:39 | 住宅道具・考 
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