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住宅道具・考⑥
世界一周畳の旅
-その3 私の居城・韓国のたたみ

山口 昌伴

◆一寸偉そうな気分に
 お隣韓国には、日本にあるような敷詰め畳はないが、日本の畳の祖型(もとの形)のような2つのタイプの坐臥具がある。
 ひとつは「たためるたたみ」、茵(しとね)状の敷物で、もうひとつはたためんたたみ(畳(たた)めない畳)。その風景をお伝えしてみよう。
 もう20年ほど前になるが、日韓の比較文化調査で通いつめていた頃のソウルでの常宿は雲堂旅館という純韓国旅館だった(今はない)。仲間と一緒の時に割り当てられる大部屋では、まっ先に陣取ってしまう私の居場所が決まっていた。
 そこは、日本の畳を少し大ぶりにした幅1m余、長さ2mほど、厚さ15cmほどの畳状の分厚い敷物―というより坐臥具。絹布で額縁状に四周を包み、上面は色ちがいの布が鏡状になっている。厚さをつける中身(畳床)は藁ではなく、綿殻と聞いた。どっしりと重く型くずれもしない布包みの坐臥具であり、ボリョーと呼ぶ。その上に肘掛けの長短の前枕と背もたれが置かれている。厚さ15cmの畳状の坐臥具の上にあぐらをかくと、丁度日本の床の間に上がり込んでいるような感覚で、一寸偉そうな気分になって、平床にいる諸君についつい威張った口をきいてしまったりする。

◆たためるたたみ
 私はこのボリョーを日本の貴族の館で置き敷きにして用いていた畳の祖型であると見做(みな)している。その証拠のひとつとして、私は日本の雛祭りの雛壇の最上段、お内裏様の坐っている厚い畳に目をつけている。まさにこれは昔の貴族の館で用いた置き敷きの厚い畳をモデルにしている。その厚い畳の縁(へり)は極彩色の縦縞で、そのパターンの呼称は高麗縁(こうらいべり)である。
 私が韓国で目にした限りでは、ボリョーの縁(へり)は高麗縁を用いていなかったが、高麗は古代朝鮮の国名だから、とびきりの貴族の館ではこれを用いたに違いない。極彩色の高麗縁パターンは女性の晴れ着の衿(えり)に現在も用いられている。
 さて、ついつい威張ってしまうボリョーの上だが、そこには自分の荷物も広げられるし、大の字に寝ることもできる。広い部屋なのにここだけが私の居所、というより居城(いじろ)となって他へは行かなくなってしまう。オープンな座敷牢のように、外から戻ると、私はそこに上り込んでしまう。これを私の家のリビングに設けたら、私は必ずその上でしか暮らさないし、家族も避けて通るので、家族との棲み分けができて良いのではないかと思っている。
 もうひとつのタイプは女性用で、薄い座布団のような敷物。婦人が涼しいところに広げて居すわっていたりする。自分がそこを離れるときは、通行する邪魔にならぬよう、一寸端を折り返したりしている。これぞたためるたたみだなァと日本の、たたみの語を残しながらたためんたたみに変容してしまった姿を想い起こしたりするのである。


道具学会 
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by ju-takukoubou | 2009-04-09 14:57 | 住宅道具・考 
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