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住宅道具・考③
畳の力
-瓢箪から駒:洋館から撫子

山口 昌伴

◆和服と住まいの深い関係
 ある朝、私の通勤路になっている女子大生通りに、和服姿の淑女があふれているので目が醒めた。いつもはピチピチ、プチプチのジーパンデニム族が包装いや衣装を一斉に替えて出てきた―女子大の卒業式、かァ。
 一日自衛隊、一日交通巡査と同じ、一日大和撫子(やまとなでしこ)。一日和装しとやか女性、一日淑女。一日も保(も)ちそうにない、あやうい和装。お父さまお母さまのたっての願いを聞き入れて窮屈を我慢ガマンの女子大生。でも、着付けが大変だっただろうなァ。
 着付け屋さんに行って着付けてもらう手もあるが、祖母に帯締めの心得があったり、近所の伯母さんがデキルので来てもらったりして、我が家で変装したケースが多いだろうナ。
 だが今どきの住まい、いずれおとらず洋風の構えで畳の部屋がなかったり、あっても形ばかりで畳の床として使えなくなっていたり。
 板の間にカーペット敷き詰めでも、椅子テーブルの居すわる部屋では和服の着付けはとってもやりにくい。
 まず着物や襦袢を床に広げられない。椅子や机を寄せてスペースはつくれても、脚もの家具の足元の床に着物をじか置きすると汚れる―より穢れるような気がして、椅子の背に掛けたり座面に置いたり。だがアーラ不思議。畳の上ならすべて心おきなく広げられる。

◆畳間の消失と日本人が失ったもの
 それは床坐する床は清浄で、椅子座の場合の床は不浄だと感じる日本人の身についた清浄感のなせるわざだと前回に口説(くど)いた。その、床坐の畳のもつ清浄感が和装の着付けに効いてくるのである。
 畳の力はそれだけではない。ひと昔まえの遊び―歌留多(かるた)取り、双六、福笑い、みな畳の上に広げた。机上で歌留多? そりゃトランプか花札だ。茶の湯・お茶道も机上では珈琲道紅茶道。若者は脚の痺(しび)れが気が気でなくて茶禅一味なんて愉(たの)しめない。今どきの新しい高齢者は坐れなかったり坐ったら立てない。床坐を捨て、畳を見限った日本人のおおきな失くしものは脚腰の強さであり、弱腰になって座布団(おざぶ)の登り降りから身振り手振り、立居振舞の美しさ、身体技法の表現力が失われた。
 歌舞音曲、琴、三味線、謡(うた)い、浪曲、講釈講談、お笑いの一席も坐って演じてもらいたい。
 椅子で噺す可笑(おか)しくもない落語かな。


道具学会 
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by ju-takukoubou | 2009-04-09 14:48 | 住宅道具・考 
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