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住宅道具・考②
畳の効用
-椅子座式になって失ったもの

山口 昌伴

◆和式旅館にたてこもり
 私は執筆や編纂の大仕事を一挙に片づけるには和式旅館にたてこもる。洋式のホテルじゃダメなのである。
 8帖、10帖の広間に入るや隅っこに座卓を寄せて原稿を書いたり図版を並べたり、そのキャプションを書いたり。あ、その前にタバコ、ライターは! 灰皿は! お茶オチャ! 卓上はたちまちイッパイになる。
 第1章の原稿や図版、関連資料に1枚の畳を当てて、そこに広げる。第2章の畳、第3章の畳、座卓回りで2帖が塞(ふさ)がるから10帖間なら全8章をまとめるのにうって付け。
 卓上では当面作業の章をいじくり、他は皆畳の上に散らばせておく。
 卓上を作業台、机上面といえば一卓があるのはオフィスと変わらない、がオフィスではそこまでで、他の章を広げる8帖の平面がナイ。
 じつは和室なら10帖、12帖の全面が机上面になる。洋机で8帖の広さの作業台を確保しようとしたら、ま、3尺以上は手も目も届かないので、机を並べてその間を歩き回ることになる。手と目の届く机上面を8帖分用意しようとしたら、通り道が要るので20坪・40帖は要る。

◆和風オフィスのすすめ
 洋式のオフィスだって、床(フロア)は空いている。けど、机上の原稿+資料を床に散らばすわけにはいかない。綺麗に拭き上げてあっても、書いた原稿を床に置けば汚れるような気がする。実際には汚れないのに床に置きたくないのは、汚れるのではないのだから、穢(けが)れを感じるのである。
 畳の床面にはこの穢れ感がない。8帖でも10帖でも「清浄」なのである。私たちが洋風椅子座式を選びとって失ったものは、この無限に広い、何でも置ける、清浄な作業台だったのである。
 どうして椅子・机の作業空間では床面が不浄で私の「玉稿」を散らばすわけにはイカナイのに、畳の上ならオーケーなのか。
 8帖間なり10帖間なりに坐って仕事をしている、ということは、8帖なり10帖なりの巨大な机の上に上り込んでいる、と思えばいい。その広大な机上面にちょっと座卓を置いて書きものをしてる、という図なのである。
 座坐式の和風オフィスつくったら、空間効率抜群だぜ。それが実は素っ頓狂な発想でもないのである。
 明治時代に論陣を張った萬朝報などの新聞社は、民家の2階座敷から発足している。でも新聞事業に成功すると、編集の空間効率としては格落ちする洋館を建てて引っ越している。
 日本では住まいも洋館化を遂げたが、ぐっと広めの座坐空間を続けることを、私はすすめたい。

道具学会 
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by ju-takukoubou | 2009-04-09 14:44 | 住宅道具・考 
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