地域マスター工務店登録運動 Webコラム

カテゴリ
全体
住まいづくりをチェック
いい工務店との家づくり 
業界コトバの散歩 
工務店ブログ探訪
住宅道具・考 
辣腕記者のヒント
野池主義でいく 
工務店業界サーチ
住まいを歩く 
工務店設計者の日々
NARB of JAPAN 
住宅ローン審査の仕組み
リンク
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
NARB of JAPANの実現へ向けて②
『安全』記号は信じられない
-リスク学を学ぼう

小池 一三 ■ Ichizo Koike

「天然素材」塗料の表示偽装
 F☆☆☆☆塗料をめぐって、二つの大変なことが起こった。
 一つは、東京都が発表した自然塗料の試験結果である。
 東京都は、都知事選後の4月24日、自然塗料をアルミ板に塗り、7日間乾かしてからホルムアルデヒドの放散量を測る試験を発表した。試験対象となった塗料は、屋内用4種類、屋内外用2種類、屋外用1種類の計7種類である。
 結果は、屋内用3種類、屋内外用は2種類とも、F☆☆の塗料に相当する量のホルムアルデヒトが放散しているというもので、試験の結果、唯一F☆☆☆☆に相当すると評価されたものは1種類に過ぎなかった。
 F☆☆は、居室内で使える建材としては、最も多くホルムアルデヒドを放散する製品規格で、居室内では床面積の30%以下の面積しか塗ることはできない。
 一方、自然塗料は植物油などの天然の素材を主原料とする塗料の通称で、建築基準法によるシックハウス規制の対象外になっている。
 試験結果は、もともとホルムアルデヒドを含んでいないと考えられていた自然塗料から多量の放散量が確認されたのである。この結果を踏まえ、東京都は自然塗料を塗布した場合でも換気が必要なことを呼びかけた。これは、行政としては異例のことである。

「安全表示」を疑え
 もう一つの大変は、F☆☆☆☆と表示していた大手塗料会社(アサヒペンと中国塗料)の製品が、経済産業省の工場立ち入り検査を受け、ホルムアルデヒドの基準値を満たしていないことが判明したことである。「疑われる」ではなく、行政から完全にクロとして判定されたのである。
 これでは、工務店も消費者も何を信じたらいいのか、ということになる。我々は、初めて降り立った地下鉄の駅から出口をもとめる場合、記号に従って進む。同じように「安全ラベル」が付けられていると、我々はそれを信じてユーザーに対し「F☆☆☆☆ですから安全です」と言ってきた。今回の結果は、「安全」だという表示記号があっても、それを安直に信じてはならないことを教えている。
 そもそもを言い出すなら、厚労省が14種類の化学物質について「室内濃度指針値」を出し、それが国交省の施策にスライドされて、建築材料を選択する上の指針値となっていること自体、「安全」を保証するものではないという事実である。
 この指針値は、健康の側からいうと一歩前進といえるが、単体としてのモノを問題にしているだけであって、この指針値を守ればシックハウス症候群に罹らないかといえば、何らそれを保証しているものではない。

F☆☆☆☆だから「安全」とは言えない、ということを自覚しよう
 建材メーカーは、指針値に従っていさえすれば、あるいは「安全」と言えるかも知れない。けれども、工務店は言えない。メーカーの尻馬に乗って「うちは国が決めた安全な材料を使っているので安心です」といって、もし過敏症をまねいたら、そのクレームの対象となるのは工務店である。それは指針値の側の問題ではなく、建築の側の問題とされているからである。
 クレームが裁判にまで発展した例が少なくないが、実は判例からみると、かならずしも原告側の建築主に有利な結果となっていない。というのは、工務店が悪いという因果関係を、なかなか証明できないからである。つまり、工務店も消費者も、そういう立場に置かれているのだから、F☆☆☆☆を用いているからといって、もう「安全」といってはならない。
 今、私は『住まいを予防医学する本』(全368p)という本を編集しているが、こういう事態をみると、簡単に予防医学するとはいえない悩みを抱えていて、リスク・ベネフィットの視座をきちんと持たないと工務店はやっていられないことを痛感している。
 どうしたらいいのか、その方法論を懸命に考え抜いているところである。

(有)小池創作所 
小池一三の週一回 
[PR]
by ju-takukoubou | 2009-04-09 13:57 | NARB of JAPAN 
<< NARB of JAPANの実... NARB of JAPANの実... >>