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野池主義でいく⑮
標準はあっても最低がない
 レベルの高い工務店でも性能ガイドブックを作っていなかった最大の理由は、単純に「まとめる時間がなかった」ということだろう。いつかはやらなきゃなあ、と思いながらも、工務店にはやらなきゃならないことがめちゃくちゃたくさんあって、後回しにしてしまっていたということ。でも、前回書いたことだけど、お客さんの意識や姿勢が変わってきていて、そういうことを曖昧にしたままではヤバイとか、いまも一応順調にお客さんは取れているけど、さらに性能のことも明快に説明できるようになれば、もっと安定してお客さんが取れるのではないかと考えたんだと思う。
 「時間がない」という理由は何となくわかっていた。でも次の理由の「標準はあっても最低がない」ということについては、仕事を進める過程ではっきりしてきたことだ。
 私は、多くの工務店は「性能における最低基準」を設けていると思っていた。またそうあるべきだと思っていた。ところが、現実には「平均仕様」みたいなものはあっても、「最低基準」を明確にしているところはとても少ないことがわかってきた。

平均仕様はレベルが上下する
 平均仕様の問題は、それが上下に動くことだ。ここで「上」に動くのは問題ない。でも「下」に動くのはまずい場合がある。もしここで「最低」が決められていなければ、際限なく落ちていることがあるからだ。もちろん基準法という「社会の最低基準」はある。でもこれを「最低」にするという社内のコンセンサスがない状態で、なし崩し的に基準法まで落としていくというのはよくない。表現として「平均(当社の家の性能はこんなものですよ)」と言うのはよいが、その裏にはきちんとした「自社としての最低」がないといけないと思う。
 というようなことを私が説明すると工務店は納得し、「じゃあここで最低を決めていこう」という話になる。これがなかなかおもしろい。
 「平均」はぼんやりとしたもので何とかイメージはできるし、何となく決めたつもりになれる。でも「最低」となるとそうはいかない。基本的な方針をまず決めなきゃいけないし、その具体を決めるときには明快な根拠や論理が必要になってくる。ある性能の最低を決めていこうとすれば、それが別の性能や設計のあり方、施工のあり方にまで影響が出てくる。

曖昧さを消していくというスリリングな作業
 こうした議論を私が議長になって進めていくわけだけど、それはとてもスリリングなものになる。根拠や論理が不明瞭なところを私が突っ込むことで、自社の性能の決め方の曖昧さが浮き彫りになってくるからだ。
 きっと、工務店の社長や設計の責任者などはこうした曖昧さがあることを自覚していて、そこを突っ込んでいくことに何らかの恐怖心があるんだろう。また、その曖昧さを明快にしようとするとき、どこに基準のようなものを置いて進めていくべきかが見えにくいのだろう。

野池 政宏 ■ Masahiro Noike
住まいと環境社
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by ju-takukoubou | 2009-04-08 17:05 | 野池主義でいく 
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