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リタイアメントブルー
業界コトバの散歩⑤
リタイアメントブルー
岩下 繁昭

「主人在宅ストレス症候群」
 結婚前の憂鬱がマリッジブルーであるのに対して、リタイアメントブルーは、熟年離婚前の憂鬱である。マリッジブルーで結婚を取りやめということはあるが、リタイアメントブルーは、これをうまく解消すれば、熟年離婚は避けられる。
 1947年からの3年間に生まれたベビーブーマーである「団塊の世代」の人口は、約800万人、その世代が今年2007年から60歳定年退職が始まる。「亭主元気で留守がいい」といったCMにあるように、朝会社に送り出すと、比較的楽に家事をこなし、友達などと自由な時間を過ごしてきた主婦にとって、夫の定年退職は、自由きままな生活の終わりを意味している。
 一日中顔をつき合わせることもストレスであるが、三度の食事を用意しなければならないことも主婦にとっては大きな負担になる。企業戦士であった夫の多くは、糖尿病、高血圧など成人病を抱えており、そう毎日外食というのも難しい。妻にとってのリタイアメントブルーは、医学的には「主人在宅ストレス症候群」とも呼ばれている。

社会の「居場所」をつくる
 一方、夫にとってのリタイアメントブルーは、何もすることがなく暇を持て余すこと、さらに朝から晩まで行動を指示するような妻の小言に、いちいち応答しなければならないことである。会社で部下を使ってきたのに、定年と同時に、妻といううるさい上司を持つことになる。夫のリタイアメントブルーは、「定年うつ病」とも呼ばれている。
 実は僕自身も2年前に59歳で某大学を敵対的退職(リタイアメント)した。そこでまず庭に小さな小屋を建て、趣味の木工を行うことにした。電動鉋やスライド丸鋸、角鑿盤、木工旋盤、ルーターなどを揃えたが、なにしろ木工機械の音がうるさく、近所迷惑ということで使用禁止になってしまった。
 結局のところ趣味は、騒音を出さないインターネットでのブログ作成ということになった。現在分野別に7つのブログを持っているが、「社会での居場所」の獲得といった点では、ブログはお薦めである。こうした趣味は部屋に閉じこもってネット漬けと思われがちであるが、ブログ仲間もそうであるが、ブログのネタ探しのため、外出という機会もかえって多くなる。

ロングステイを開始
 また家事の負担を減らす狙いもあって、タイのチェンマイで年間3ヵ月のロングステイを始めた。リネンの交換や掃除などのメイドサービスが週1,500円ほどと安い。屋台料理や市場の惣菜屋さんで何でも揃うので、食事を用意する必要もない。ベジタリアン・フードのキンジェー(斎)もあるので、成人病の人も食べる場所には困らない。さらにYMCAのタイ語スクール、タイ料理教室などもあり、夫婦それぞれ別な時間を過ごすこともできる。日本にいるよりはボランティアの呼びかけも多いし、参加するのに心の扉も開けやすい。
 次に僕は家の近くに農園を借りて、農業を始めた。耕したり草を取ったりするのは結構忙しいし、そればかりでなく近所の人達とのコミュニケーションの機会も多くなる。さらに野菜などを収穫し、下洗いして台所に運ぶことによって、食事の用意に間接的に参加することにもなる。

ライフスタイルを変える努力が必要
 こうしたライフスタイルを変える努力が、どれだけリタイアメントブルー解消に役立っているかはわからないが、いずれにしても「できるだけ一緒にいないようにすること」、「家事の負担を減らし、できるだけ家事は自分自身でやるようにすること」、「何らかの社会参加の機会を作り出すこと」が必要であると言える。
 こうなると、リタイアメント後の理想的な住まいは、残念ながら1軒の家を何人かで借りて暮らすハウスシェアのような家ということになってくる。十数年前に建設されたイギリスのサードエージ・ハウス(リタイアメント後の住まい)でも、1,000人の高齢者のアンケート調査をもとに、夫婦の寝室は別々になっていた。
 NHKのラジオ深夜便で朝の4時からの「こころの時代」を聞くのが日課になると、寝室は別々にということになってくる。寝室というよりは、むしろ個室で趣味や仕事もでき生活のかなりの部分ができるようなスペースがいいということになってくる。リタイアメントブルーを防ぐための住宅リフォームの第一歩は、この個室づくりから始まると言える。
 一方、リタイアメントの際に、リタイアメントブルー防止の決定版と考えた、「離れづくり」であるが、わが家もそうであるが、近所周辺を見回してもあまり活用されていない。週末にはバーでも開いて、近所の人が集まるというような、玄関が別である「離れ」のメリットを活かさない限りなかなか使われない。
 「頭の良い子を育てる住宅」が話題になっているようだが、リタイアメント世代の我々にとっては、「リタイアメントブルー防止住宅」、「ぼけない頭脳トレーニング住宅」の方が共感できるテーマであると言える。
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by ju-takukoubou | 2009-04-08 14:30 | 業界コトバの散歩 
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