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地域マスター工務店登録運動 Webコラム

いい工務店との家づくり③ (株)相羽建設 迎川 利夫
私の目指す工務店
(株)相羽建設 迎川 利夫

1.家は「つくること」より「住まうこと」を考えたい
 よく「○○工法の家」とか「○○の家」という謳い文句を聞く。相羽建設では工法とかシステムという「つくり方」ではなく、「住まうこと」を第一に考えた家づくりを行っている。だから、建材メーカーでデザインされた既成住宅部材を組み合わせるのではなく、キッチンや洗面台まで大工さんがつくることが多い。
 
 例えばキッチンカウンターのステンレス板の厚さは既製品では薄すぎる。生活シーンでは分別ごみでゴミ箱を2つくらい置くことが多いが、それに対応したキッチンがない。吊戸棚も使い勝手から引戸にしたいが大多数が開き。だから、使い勝手を追求すると大工さんでつくることになる。こんな感じで、住み心地を追求すると、違う思想でつくられた製品を組み合わせるわけにはいかなくなる。
 
 例えば防蟻処理も5年後の再施工で家族が生活する場に危険な農薬を持ち込みたくない。だから、防毒マスクをしなくても施工できる方法を選択することになる。例えば浴槽の色を選ぶ場合、色見本を水に浸けてみないと光の屈折での色がわからない。壁紙を選ぶとき、色柄よりも火災時にどんなことが起きるか見本を燃やしてみることが大切に思う。万が一火事になった場合、塩ビが溶けた雫や有毒ガスが家族を攻撃してこないか確認する。こんな住み始めたらとても大切な事項が「つくり手」の都合から見えにくくなっている。

2.永く住み続けられる家をつくる
 家は永く住み続けることが一番の省エネルギーだし、環境にも良い。そのためには快適に永く住み続けたいと思える家をつくる必要がある。
 相羽建設では「快適に住み続けられる家3原則」を設けている。

○いつまでも住み続けたいと思える居心地の良い家
 設計力を重要し、特に現地調査やインタビューを大切にしている。風の流れや向き、隣地の状況、視線が伸びる方向、住まい手の暮らしぶり、持ち物の量……etc.
 この他にも予算や法律、夢や希望等々の複雑に絡み合った与条件を噛み砕き、一つ一つ丁寧に解きほぐすような地道な作業が居心地の良い家づくりに欠かせない。

○つくるため、暮らすため、土に還すために必要なエネルギー消費量が少ない家
 太陽の熱や光、風、地熱などの自然エネルギーを活用して住環境を整える。家の周りの植栽等に気を使い微気候を創り出す。処分に環境負荷の少ない材料をなるべく使う。OMソーラーで太陽熱を活用した換気暖房を行っている。落葉樹で夏の日陰をつくり微気候を整えている。アメダスのデータから季節の風向きを計算し、家の中に風の道をつくっている。

○家族の生命と健康を守る物理的に安全な家
 構造計算をして耐震強度を確認すると共に、柱には性能表示された芯持ちの国産材を用い構造の耐久性を確保する。家族の健康を害することがないように、安全な材料を自然素材中心に用いる。炭を使った防蟻処理を用い空気の浄化を図り、OMソーラーで新鮮空気を大量に取り込んで換気する。

3.地域に必要とされる工務店
 地域工務店として大切なことは、きちんと家を守り続けること。だから、流行に左右され短期間で廃番になる建材や印刷で他の素材を装う不正直な建材は使わない。できるだけ「経年美化」が期待でき、継続的に供給される素材を用いる。そう考えると自然素材を素直に使うことが多くなる。木や土や石や紙や金属やガラスなどの素材を、なるべくその質感を活かして使う家になる。
 
 また、住まい手との良好なコミュニケーションを継続すること。お盆と暮れの御挨拶訪問様子伺い(年2回)の他、ホームページやニュースレター(月1回)、メルマガ(週1回)、ブログ(日々更新)等々で、身近な工務店と感じていただけるようにしている。
 暮れの仕事仕舞いには社員・職人・住まい手が集まって餅つき納会を行っている。年に一度家を建ててくれた大工さんに会うことを楽しみにしている住まい手もたくさんいる。
 
 家のトラブルは、いつ何時に起こるかわからない。普段の生活パターンが崩れるお盆や暮れの休暇中に起こることも多い。どんな時でも迅速に応急処置ができる365日24時間トラブル対応体制をとって、安心してお住まいいただけるようにしている。

4.家づくりを楽しんでいただくために
 快適に住み続けられる住まいは、住まい手・描き手・つくり手という3つの手が、それぞれの責任を全うし、対等な立場で信頼という絆でしっかりと結ばれていることが不可欠。お互いが疑心暗鬼になっていたのでは、まともな仕事などできるはずもないから、結果として縮こまった家になってしまう。良かれと思ってしたことが裏目に出ることもあるだろう。地域工務店の家づくりは、人の手でつくられるので間違いもある。そんな時信頼関係があれば、適切な手段が講じられるが、疑心暗鬼ではミスを隠す方向に心が働くのは人間の弱さ。初めての家づくりで、わからないことだらけのことを、断片的に調べれば調べるほど理解できなくなるのはあたり前。そんな疑問が不信を生む。気軽に聞ける関係をつくれば不安も解消し、本当に家づくりを楽しむことができ、居心地の良い家ができる。

5.住宅力を磨こう
 相羽建設の考える家づくりをご理解いただくために、私達は執拗な訪宅やアポ取りは行わない。毎月1~2回の現場見学会や住まい教室を通して、具体的に五感を働かせて空間を体感し、その積み重ねで住宅力を付けていただく。バス見学会では新旧取り混ぜ3軒のお宅を訪問し、住まいぶりや経年美化をご覧いただく。住まい手から「こうして置けば良かった」「こんなはずじゃなかった」という生の声でアドバイスいただき、住宅力を磨きこんで御自身の家づくりが始まる。こんな家づくりを一緒にして行きたい。
 
 結局、相羽建設がつくっている家とは、無理なことをせず正直に材料を使い、自然の摂理に従った生活が似合う家なのだと思う。
 そんな家づくりが評価され、昨年は「エコビルド賞」をいただいた。


 快適に住み続けられる家3原則
 ○いつまでも住み続けたいと思える居心地の良い家
 ○つくるため、暮らすため、土に還すために必要なエネルギー消費量が少ない家
 ○家族の生命と健康を守る物理的に安全な家


(株)相羽建設 HP
by ju-takukoubou | 2009-04-08 10:17 | いい工務店との家づくり 
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